正月の誘惑にも正義は勝つ。来秋ドラフトの超目玉右腕で最速156キロの創価大・田中正義投手(3年=創価)が20日、東京・八王子市の同大グラウンドで年内の練習を納めた。エース兼主将として迎えるラストイヤーに向け、「日本一しか見ていません」と同大初の全国制覇を誓った。

 田中が寝転ぶと、カメラのシャッター音が響いた。100メートルの坂道ダッシュをすれば、頂上で報道陣が待ち構え、ロッテ、楽天、中日のスカウトも見守った。注目度の高さに「ちょっと、走りにくいです」。苦笑いしながらも15秒以内、計7本のきついノルマを楽々こなした。「これからもっと見られる。このぐらいのプレッシャーを乗り越えないと上ではやっていけない」と覚悟をにじませた。

 正月気分も封印する。メニューを見ただけで、タンパク質や脂質の量を計算できるほど、体作りにこだわる。「おせちは、鶏とか食べたいものだけを食べます。アルコールは飲めますが、今の自分にはいらない」と断酒を宣言。新年も布団の中で迎える予定で「日をまたがずに寝ます。ここまでやってきたのに、正月でリセットしたらもったいない」と早寝を継続する。当然、体は毎日動かす。

 今春の大学日本代表とNPB選抜との壮行試合では、7者連続三振を奪った。50イニング連続無失点、東京新大学秋季リーグ戦では46イニングを投げ防御率0・00と話題を振りまいてきた。「もっと全体的にレベルアップしたい」。最速160キロの大台とともに、ストイックな田中の挑戦は続く。【和田美保】