サバイバルが、スタートする。日本ハム栗山英樹監督(54)が6日、今季の先発ローテーション争いの号砲を鳴らした。年間で8人を想定し、グループ分けして選別する構想を披露。大谷と吉川、メンドーサと有原の実績あるメンバー4人にはアドバンテージを持たせ、ほか斎藤ら残る候補は横一線で見極める方針を明かした。状況次第では最大10人以上となる大激戦。非情な見極めを開幕まで続け、勝負の布陣を整える。

 にんまりと穏やかな笑顔で、残酷な宣戦布告をした。栗山監督は、明確に今季先発陣の輪郭を描いていた。「基本的に5人。あとプラス3人。先入観をなく選んでいくよ」。1年間を戦う上での軸に主力格5人を据え、最大で8人の人数制限を設定した。4年ぶりのペナント奪回を狙う勝負イヤーのテーマは「投手で勝つ」と強調。根幹を担うローテーション編成の指針だけに、厳格だった。

 情を捨て、ランク付けした。現状で想定する軸の5人を挙げた。「(大谷)翔平、メンドーサ、吉川、有原…」と指を4本まで折って止めた。不敵に笑い、残る狭き門を射止めるための評価基準を説明した。「まずは(開幕までの実戦で)結果を残して…。あとは日ごろの取り組みとか、姿勢とかそういうのもあるよね」。単純明快な実力、結果主義だけではなく、内面の資質まで問うと宣告した。

 壮絶なレースは、必至な情勢だ。昨季チームトップ15勝の大谷ら4人には「アドバンテージ」が与えられるが、ほかは横一線と予告。中継ぎ適性もある新外国人クリス・マーティン投手(29=ヤンキース)に、ドラフト1位上原健太投手(21=明大)ら新人の名前も列挙。栗山監督は「1つぐらいは、残してやるよ」。あえて主力格の枠を1つ余し、競争をあおる戦略を練っている。

 現有戦力はゼロからの出発だ。近年の先発陣を担ってきた斎藤、中村ら経験値あるメンバーも配慮されず、実績のない新戦力と同じスタートラインに立つ。高梨ら台頭しそうな顔ぶれも含めると、8人の枠に最大10人以上のデッドヒートが予想される。栗山監督は「あとはこれから新外国人を獲得できたら…」とさらに火に油注ぐ、材料も示唆。非情な吟味が16年の命運を握る。【高山通史】