球場の夢プランは広がる! DeNAは21日、本拠地球場・横浜スタジアムの運営会社を買収する株式公開買い付け(TOB)が20日に締め切られ、過半数の取得に成功したと発表した。28日に名義変更し、一体経営がスタートする。今後クリアすべき条件は多いが、理想の球場をつくることも夢ではない。9つのコンセプトを打ち出し、愛されるスタジアム経営が船出する。

 DeNA池田純社長は会見の中で、「夢」という言葉を何度も口にした。理想の球場を描いたCG写真は、1月下旬に発売される球団初のメッセージフォトブック「BALLPARK」の中に見開きワイドで掲載される。

 では本当に実現できるのか? 「あくまで夢です。ただ一体経営になることで、迅速大胆に動くことはできる」と、スタート地点に立ったばかりであることを強調した。乗り越えなければならない課題は多い。横浜市の条例、公園法などの法律がある。まずは経営を始めてから関係各方面と話し合って行くことになる。

 本格的な改装などに取り組み始めるのは来年からという。キーワードは9つ。(1)COLOR(色)(2)ENTERTAINMENT(イベント・演出)(3)SEAT(シート)(4)HISTORY(歴史)(5)BALL“PARK”(野球の公園)(6)FOOD(食)(7)GREEN(芝)(8)BEYOND(超える)(9)LANDSCAPE(景観)。

 この中で今年から早速取り掛かりたいのが(1)COLOR(色)だ。池田社長は「今後、広報が発表したかったと思うが」と苦笑いを交えて説明した。「まずはブルーにしていきたい。現状では一部に他球団のカラーがある」。座席がオレンジ色だからジャイアンツ色というわけだ。こんな改善も実行はしやすくなる。

 それだけではない。右翼席をなくし日本大通りが見える。外からも場内が見える、開かれた球場だ。バックスクリーン横には横浜を象徴するレンガ作りのテラスもある。客席を増やす工夫がジャンボスタンド。池田社長は「必ず実現しなければいけないものではない。ただ横浜市民に愛されるボールパークにしたい」と、夢を披露した。そして、看板などの広告料や飲食販売収入などで健全経営を目指せば、選手補強などのチーム強化にもつながるという。正夢になるのか? DeNAの挑戦が始まった。【矢後洋一】

 ◆株式公開買い付け(TOB) 昨年11月24日から普通株式の公開買い付けを実施し、1月20日に完了した。異動前の所有株式40万株に加え、新たに議決権所有割合の71・12%にあたる495万株を74億2500万円を投じて取得。併せて76・87%にあたる535万株を所有することになった。これにより株式会社横浜スタジアムは、株式会社DeNAベイスターズの子会社となり、株式会社ディー・エヌ・エーの連結子会社(孫会社)となる。