スイング、速ぇ~! 阪神の新外国人マット・ヘイグ内野手(30=ブルージェイズ)が1日、沖縄宜野座キャンプ初日から他球団スコアラー勢を仰天させた。中距離打者という触れ込みだったが、いきなりゴメス顔負けのフルスイングを連発。14年セ・リーグ本塁打王の広島エルドレッドをイメージする声もあがるほど、強打者オーラが漂ってきた。

 宜野座ドームを取り囲む四方八方から、同じ声が飛び交った。「スイング、速っ!」。雨音と風音が交ざり合う午後1時過ぎ。ヘイグがほんの数分間で“イメチェン”に成功した。

 ヘイグ カメラの数が多いとは感じたけど、意識することはなかったよ。

 テレビカメラ18台、報道陣230人が駆けつけたキャンプ初日。無数の熱視線を浴びながら、自然体で打席に立った。狭いスタンスを取り、頭上に掲げたバットをゆらゆら揺らす。メジャーの強打者ロンゴリア(レイズ)をほうふつさせるフォームから、まさかのフルスイングが待っていた。

 軸回転でボールをつぶす。アベレージヒッター、中距離打者という触れ込みが頭から吹っ飛ぶ強振だ。カーブマシンを24スイングした後、フリー打撃で計46スイング。屋外ランチ特打は悪天候で流れたが、他球団の「007部隊」を驚かすには十分なデモンストレーションだった。

 中日佐藤スコアラー コンパクトに打つのかと思ったんだけどね。ちょっとイメージが変わった。バットを高く構えるところは広島エルドレッドみたいだね。

 広島玉山スコアラー もっと当てる感じかと思ったけど、かなり強く振りますね。手首の使い方が柔らかい印象です。

 まだ室内で打っただけとはいえ、14年セ・リーグ本塁打王エルドレッドの名前まで飛び出すほどインパクトを与えた。「もともと僕は早い段階から打撃練習を始めるタイプだから」と謙遜する性格も頼もしい。ノックでは三塁に入り、無難なグラブさばきとスローイングを披露。指揮官からも、キャンプ初日という段階では及第点を与えられた。

 金本監督 スローイングがいいかな。振ること自体は形になっていた。去年、一昨年のゴメスより準備してきている。2月1日から70、80%でキャンプインしている。日本の文化を誰かに聞いたんじゃないかな。

 打撃練習後、指揮官から「Good job!」と声をかけられて「うれしいよ」とニッコリ。優良助っ人マートンの残像を消し去れるか。困難な挑戦、滑り出しは上々だ。【佐井陽介】