覚せい剤所持容疑で逮捕された元プロ野球選手清原和博容疑者(48)が、逮捕前日に群馬県で覚せい剤を購入していた疑いがあることが5日、関係者への取材で分かった。北関東には暴力団関係者が仕切る覚せい剤の大型密売拠点があるとされ、その近くまで“遠征”し購入、帰京後すぐ使用した可能性がある。目立ちにくい地方で密売人と接触し入手していたとみられ、この日までに尿鑑定で覚せい剤の陽性反応が出た。警視庁は今後、使用容疑で再逮捕する方針。

 覚せい剤の入手先に「北関東ルート」が浮上した。捜査関係者によると、清原容疑者は逮捕前日の今月1日、群馬県に行き、そこで覚せい剤を購入していたという。その後、都内に戻って高級ホテルに宿泊。交際相手の女性が一緒にいたとの情報もある。2日に都内自宅マンションに戻り、同日夜、警視庁に覚せい剤取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕された。自宅内では注射器1本とストロー1本を握っていたとされ、群馬で購入した覚せい剤を即使用していた疑いもある。滞在したホテルに残されたティッシュの汗から、覚せい剤成分が検出されたことも判明した。

 薬物に詳しい関係者によると、北関東のある場所には、実質的に暴力団関係者が仕切っている覚せい剤の大型密売拠点があるという。「そこは北朝鮮など海外から密輸した覚せい剤が大量にストックされる『密売センター』のような拠点。そこから、東京や神奈川県など関東各地の売人に、覚せい剤をおろしている。清原容疑者は、北関東の密売拠点の近くまでわざわざ遠征し、購入していた可能性もある」(同関係者)。

 警視庁は、清原容疑者はインターネット取引ではなく、密売人と直接接触して覚せい剤を買っていたとみている。また、入手ルートに暴力団が関与している可能性が高いとみて、自宅から押収した4台の携帯電話の通信履歴を解析する。

 群馬で購入していたとの情報についてこの関係者は「大柄で目立ち、多くの人が知る清原容疑者だけに、密売人からの直接購入の場合、目立ちにくい地方で取引したかったという背景もあるのではないか。また、覚せい剤常用者の場合、安全に入手できさえすれば、地方でも海外でも、遠征して購入することをいとわない人も多い」と指摘した。

 一方、清原容疑者の尿から覚せい剤の陽性反応が出たことが5日、警視庁への取材で分かった。これまでの調べに対し、覚せい剤の所持を認め、「腕に注射したり、ガラスパイプであぶって吸ったりしていた」と使用についても具体的に認める供述をしている。

 警視庁が自宅から押収した覚せい剤は、約0・047グラムだった。一般的に、覚せい剤の1回分使用量は0・03グラムとされている。ただ「入手先についてしゃべるつもりはない」と話し、今のところ入手ルートは明かしていない。警視庁は5日までに、清原容疑者が使っていた車2台を新たに捜索。群馬などへ「遠征購入」に使っていた可能性もあるとみて、詳しい入手経路の絞り込みを進めている。