巨人版スーパーカートリオだ! オリックスとのオープン戦で3番に立岡宗一郎外野手(25)をテスト。シーズンの1軍公式戦で未経験の位置に若手成長株を据え、1番にドラフト2位の重信慎之介外野手(22=早大)、2番に片岡治大内野手(33)と俊足をズラリと並べた。高橋監督は日本ハム大谷ら各球団のスーパーエースとの対戦を想定して機動破壊を狙った。この日は不発だったが、長いシーズンへの布石になる。

 試合前、高橋監督の頭には韋駄天(いだてん)たちがスーパーエースをかく乱するイメージが膨らんでいた。近年、主に3番を務める坂本が侍ジャパンで不在。もう1人の候補である長野ではなく、進境著しい立岡の名前をメンバー表に書き込む。1番に快足ルーキー重信、2番に4年連続盗塁王の肩書を持つ片岡、3番に昨季16盗塁の立岡。指揮官の少年時代に大洋(現DeNA)で一世を風靡(ふうび)したスーパーカートリオを巨人で再現した。

 「前回の大谷もそうだし、ディクソンとかいい投手にはそういう攻撃も必要になる」。2日の日本ハム戦では大谷に最速162キロをたたき出され、力でねじ伏せられた。ディクソンも昨季防御率2・48を誇る難攻不落の相手。連打に大きな期待を抱けない投手に、どう立ち向かうか-。オプションを敢行した。

 ただこの試合に限っては肝心の出塁がままならなかった。立岡は初回に初球を狙うも二ゴロ。重信も2三振した。6回に片岡が右前打でトリオ初出塁を果たしたが、立岡は大きな右飛に終わり、2死から片岡の代走藤村が二盗を狙うも失敗した。指揮官も「打って塁に出ないとね」と大前提を口にした。

 連勝は5で止まったが、まだチームは途上にある。高橋監督が「バッティングの内容も調子もいい。坂本がいなくてシーズンでこういうこともあるので試してみようと思った」と任命理由に挙げた立岡は「将来はそこを任せてもらえるように」と大志を抱いた。変幻自在な壮大なチーム作りは始まったばかりだ。【広重竜太郎】

 ◆スーパーカートリオ 85年に大洋(現DeNA)で、機動力を重視した近藤貞雄監督が結成した。1番高木豊、2番加藤博一、3番屋鋪要の俊足トリオの愛称。この年、高木が42盗塁、加藤が48盗塁、屋鋪が58盗塁をマークした。3人以上が40盗塁以上を記録したのはプロ野球史上唯一。前年、最下位から4位に上がる原動力になった。