中日の開幕投手に内定している大野雄大投手(27)が目覚めた。楽天戦に先発し5回2/3を1失点。スロー調整を取り入れていた左腕に火をつけたのは楽天の先発則本の姿だった。

 5回1死から藤田に投げた3球目。内角を突く直球がミットに収まると大野の心に変化が起きた。「やっと腕が振れてきた。久しぶりの感覚でした。やっぱり真っすぐだなと。最後につかみました」。ベンチに戻って話した捕手の桂も同じ思いだったという。

 藤田と嶋を凡飛に打ち取ると、好感触を忘れないため続投を志願。予定になかった6回は球数が78球に達したところで降板した。スピードガンに大きな変化はなかったが「則本君の勢いのある投球に影響された。あれだけ腕を振って投げていて、刺激されるものがあった。今日まで自分は腕は振れていると思っていたけど、振れていなかった。このまま開幕を迎えずによかったです」と明かした。

 昨年のプレミア12で同僚だった則本は、6回を1安打の完璧な内容。左右の違いはあっても速球を軸にどんどん攻め込むスタイルは同じ。腕を振るという原点を思い出させてくれた。

 開幕投手は早々に内定している。3月25日の阪神戦を調子のピークにするため例年より1カ月近く調整ペースを遅らせたが、開幕2週間前に曲線はグッと上を向いた。「まだ7割くらいですね。次は結果を求めて、総合的にレベルを上げた投球をしたい」。あと1回の登板を経て、初の大役マウンドに向かう。【柏原誠】