中日谷繁元信監督(45)が「足攻め」で虎をふらつかせた。昨年の開幕カードで連続サヨナラ負けから痛恨の3タテを食らった阪神と今年初対戦。終盤の守備の乱れで惜敗したが、鮮やかな足攻めでかき回した。

 2-2の3回。先頭大島が右前打で、2番亀沢の初球にヒットエンドランがかかる。浅い左前打にもかかわらず、大島は迷わず三塁に向かい、際どいタイミングでセーフ。新戦力の左翼高山の判断力と送球能力を試すような走塁だった。

 遠藤の犠飛、森野の右前打と一気にたたみかけた。「足を使って、細かい動きをしながらね。なかなか打って打ってだけでは、そうそう点は取れないから」。指揮官の顔に笑みが浮かんだ。

 2回もそうだった。右中間へのライナーを放った俊足藤井が外野手の動きを見て一気に三塁へ。続く高橋の一塁ゴロで藤井が本塁に突っ込んだ。昨年までなら無謀な判断と思われたが「コリジョン(衝突)ルール」のラインを試す走塁だった。実際、好返球にもかかわらず回り込んだ藤井は間一髪アウト。公式戦でも十分「あり」な作戦といえた。

 阪神とは昨年、開幕3連敗にはじまり9勝16敗。14日のセ・リーグ、ファンミーティングで谷繁監督は「借りを返したい。金本監督を焦らせたい」と揺さぶった。4番の大砲ビシエドをはさみ、大島、荒木(亀沢)、遠藤、平田、藤井と走れる選手が並ぶ。勝負は1週間後。今年の中日は虎にとって決して甘くない。【柏原誠】