プロ注目の左の強打者に今季1号が飛び出した。仙台大の3番松本桃太郎内野手(4年=北海)が、東北工大戦で右翼芝生席上段に飛び込む特大の2ラン。「打った瞬間、行ったと思った」と内角低めの変化球に右肘をたたみ、体を回転させて運んだ。

 5回裏9-0からの大学通算12号で、11-0のコールド勝ちを決めた。4回に今季初安打の三塁打を放ち「肩の荷が下りた」と笑った。開幕戦からこの日の第2打席まで計4四球と、勝負を避けられていた。森本吉謙監督(41)は「役者ですよ。あれだけ四球が多い中で集中力がある」と褒めたたえた。

 通算92安打として、リーグ史上4人目の100安打にあと8本と迫った。この日の朝、森本監督に「いろいろなことを意識するな。自分のことをやれば結果は出る」とアドバイスを受けた。プロ入りの高い目標や、大記録などは自然と重圧になった。「救いのひと言でした。監督の言葉は心に響く」と感謝するほど、精神的に楽になった。

 勝負を避けられ、打ち気にはやって体が前に突っ込みがちだったフォームを、「ボールを長く見る」(松本)ことで球を引きつけた。チームは連勝して順当に勝ち点1を手にした。「優勝して監督を胴上げしたい」。春3連覇へ、主砲のエンジンがかかり始めた。【久野朗】