ド、ド、ドリスの衝撃ショー! 阪神の新外国人右腕ラファエル・ドリス(28)が1軍デビューを鮮やかに飾った。4点リードの9回、山田から始まるヤクルトのクリーンアップを10球であっさりと料理した。最速は152キロ、フォークもえぐかった。次は守護神マテオとのドミニカンリレーも見てみたい!

 195センチ、109キロの巨漢が甲子園で躍動した。この日1軍昇格した新助っ人ドリスが9回、昨季のリーグ王者ヤクルトの中軸を3人で斬る衝撃デビュー。「アメリカでもこういう環境ではやっている。ただ1つだけ違うのはこの応援。力強かったしモチベーションが上がったよ」。4連敗阻止を願う約4万人の大声援に大感激。そのお礼は10球の快投だ。

 昨年トリプルスリーの先頭山田を149キロ真っすぐで右飛に打ち取ると、元本塁打王のバレンティンは142キロ真っすぐで遊ゴロ。最後は139キロのフォークで雄平に空を切らせた。入団会見で豪語した160キロには届かなかったが、最速は152キロを計測。ウイニングボールを見つめ「初めて三振を取ったボールさ。大事にしないとね。サインして誰かにプレゼントしようかな」と屈託なく笑った。

 外国人枠の関係で開幕から2軍暮らしが続いた。だが前向きにチャンスを待ち、この日の結果につなげた。チームに早くなじもうと猛勉強しているのが日本語だ。それも関西人顔負けのスパイスまで効いている。「頑張って」と声をかけると「オマエモナ」。「おはよう」には「オッス!」。この日の勝利後も「ムーチョイイネ。ムーチョイイネ!」と連発した。「ムッチャイイネ」と言いたかったのだろうが、陽気な性格もこの日の1軍合流即、連敗中のチームを明るくした。

 金本監督も安定感抜群の投球を絶賛し、舞台裏を明かした。「ファンも喜んでくれたと思うけど、僕もすごくね」。実は9回3点差なら、守護神マテオを投入する予定だったという。ところが「高山の内野安打で(1点追加して)急きょ決まりました」。高山が2死から4点差に広げる適時内野安打を放ったからこそ実現した出番だった。収穫は予想以上に大きかった。

 福原が打たれた2戦連続サヨナラ負けの悪夢も一掃し、新勝利の方程式にもメドが立った。この日は藤浪の降板後も榎田、安藤、高橋が0封リレー。監督も「今日は中継ぎの勝利」とうなずいた。「マテオも僕の昇格をお祝いしてくれたよ。いい投球を続けたいね」。ひげのドミニカン継投で、さあ再浮上だ。【松井清員】

 ◆ラファエル・ドリス 1988年1月10日、ドミニカ共和国生まれ。04年にカブスと契約。当初は遊撃手で、渡米後に投手へ転向した。11年メジャー初登板。ジャイアンツ-タイガース傘下。メジャー通算40試合、2勝4敗4セーブ、防御率5・48。今季ウエスタン・リーグ7試合で1勝1セーブ、防御率1・59。11イニング1/3を投げ9奪三振。195センチ、109キロ。右投げ右打ち。推定年俸5000万円。