体の力がじわじわと奪われる中、自らのバットでケリをつけた。オリックスは安達了一内野手(28)が決勝打でチーム2連勝に導いた。8回2死満塁から、楽天青山のスライダーを中前に2点適時打。4時間を超える接戦を制した。国指定の難病である潰瘍性大腸炎から復活した男は、延長戦の突入を阻止してほっとした顔だ。「体力的にきつかった。延長に入ったらもっときつくなる。点数が入って良かった」。

 1月下旬に発症。安倍晋三首相も07年に当時辞任の原因となった病気で、キャンプは全休した。2週間の入院中は体重が10キロ近く減った。4月2日の2軍戦で実戦復帰。同12日に1軍昇格した。これまでと違う感情が芽生えている。

 「野球をできる喜びがある。今までは当たり前だった。病気で野球ができるか分からない状態だったので…」。支えになったのはチームメートの励まし。そしてファンの声だ。「それが一番の力になる」。3試合連続マルチ安打と調子も上がってきた。

 この病気に完治は難しく、薬で症状を抑えている状態。今後も付き合っていく必要がある。「試合に慣れてきたが、連戦はまだきつい。しんどいけど、やるしかない」。強い気持ちが安達を支えている。【大池和幸】