ヒーローインタビューを受けるヤクルト山中が、言葉を絞り出した。「ヤクルトも熊本も負けないように、頑張っていきましょう」。生まれ育った熊本は、先日起きた大地震の影響で甚大な被害を受けた。被災者を気遣う温かい言葉に、ヤクルトファンだけでなくDeNAファンからも拍手がわき起こった。「こういう活躍を少しでも届けたい」。昨季以来となる自身2度目の完封勝利は、苦しむ人を元気づけるメッセージでもあった。

 前回登板の4月27日の広島戦は、5回8失点と精彩を欠いた。「とにかく自分のテンポでいこう」と反省を生かし、リズミカルに攻め込んだ。コースの隅を突き、低めを徹底した投球で4安打に封じた。「熊本では今もみんな戦っている」。気迫の投球でチームを今季初の5連勝に導き、勝率も5割に戻した。真中監督も「ノビノビと投げてくれた」と目を細めた。