普段は温厚な阪神原口がマウンドをにらみつけた。1点を追う6回2死走者なし。中日ジョーダンの初球が背番号94の左腕をおそった。鈍い音を残したボールが地面にポトリ。阪神ベンチがざわついた。

 5回には阪神藤浪の抜けた球が中日荒木の手を直撃していただけに“報復”とも取られかねない1球。さすがの原口もそのまま黙って一塁に向かうわけにはいかなかった。

 1軍では初のビジターだったが、ひるむことはない。2回の1打席目には三塁強襲の内野安打をマーク。4回1死二、三塁、一時は同点に追いつく右犠飛を放った。

 マスクをかぶっても初コンビの藤浪を必死でリード。荒れ気味の右腕を懸命になだめた。勝利には結びつかなかったが「次またチャンスがあれば、ツーシームを使って球数を減らしていけるという手応えはある」と収穫は得た。常に強気。常にプラス思考。育成からはい上がった男が、戦う姿勢を示した。