先手必勝の一打を、しぶとく弾いた。1回1死一、二塁の先制機。日本ハム中田が、強い確信を持ってすくい上げた。「打ち方も打球もブサイクだったけど、良かった」。楽天釜田の外角低め144キロカットボールに、なりふり構わず食らいついた。先発大谷への絶大な信頼が、突き動かした。「ここで2、3点取れば、あとは翔平がなんとかしてくれる」。右前適時打を皮切りに、3点を先制。思惑通りに大谷が好投し、これが決勝打になった。

 主砲として、理想的なエース像を思い描く。野手大谷とは中軸を担う立場。打者で好調な一方、投手として勝ち星が伸び悩んでいることに責任を感じていた。「翔平の時に足を引っ張っていた。やっぱり投手で活躍してもらいたい気持ちが強い」。大谷の前回登板の15日西武戦は3打点の活躍も、前々回の8日西武戦は4打数1安打2三振。「翔平が投げるときは勝たなアカン」と気持ちは一層、高まっていた。同じ宿命が、心を燃やしている。「特別じゃないけど、アイツは勝たないといけない」。自身も不動の4番として、打線の主役になる立場。献身的な働きを兼ね備えた打のキーマンが、上位追撃への要になる。【田中彩友美】