これでは上昇気流の風に乗れない。阪神が先発ランディ・メッセンジャー投手(34)の乱調に加え、打線も8四球を得ながら13残塁に終わって敗れた。メッセンジャーは浜風にも乗った打球を打たれ、4回途中7失点KOで3敗目。チームは前日21日のサヨナラ勝利の勢いをキープできず、勝率5割逆戻り。4位に後退した。

 「神風」は2度も吹かない。甲子園のバックスクリーン上の旗は右から左へ、強くはためく。阪神が浜風に泣いた。金本監督も開口一番、恨めしげに「風がね…。松山のも、どうだろうね、普段の風だったら。今日は特に伸びたよね」と声を絞り出す。今季初の中4日で先発したメッセンジャーも首をかしげ「そんなことを言っていたら話にならないけど風のおかげで点を取られた」と振り返った。

 風雲急を告げたのは2点リードの3回だ。2死一、二塁で4番松山と対戦。カウント2-2からの6球目。見逃せばボールの真っすぐを打たれると、打球はふわりと左翼上空を舞い、ポール際に吸い込まれた。痛恨の逆転3ラン。さらに、一、二塁で今度は安部の飛球が左中間へ。風に乗ってフェンス直撃の2点三塁打になった。直前には変化球で空振り三振かとも思われたシーンでファウル判定。虎党にとっては、何とももどかしい場面が続いた。

 一夜明け、虎がモロに「逆風」を浴びた。前日21日、高山のサヨナラ打はファウル飛球が強風にあおられ、三塁安部が捕れなかった直後に生まれたもの。この日は、ことごとくカープにフォローの風が吹いた。

 もちろん、風だけの問題ではない。本来の球威はなく、球も上ずっていた。香田投手コーチも「球が高かったね。そこがあったから風に…。相性もあるんだろうね」と指摘した。松山は4月22日にも被弾した相手。今季最短の3回1/3でKO。広島相手に2戦連続7失点し、いまや天敵状態。月末の巨人戦先発に向けて不安を残した。

 金本監督が悔いたのは反撃に転じた3回の攻撃だ。1死満塁でメッセンジャーに代打を送らなかった場面を「悩んだけどね。3回はね。開幕投手だし、うちの勝ち頭。結果的にそこが一番ね。僕の判断ミス。続投させて、その裏に打たれて」と責任を口にした。広島に負け越し、またも勝率5割に戻った。【酒井俊作】

 ▼メッセンジャーは広島戦通算11敗目(10勝)。対セ・リーグ球団では巨人戦10勝12敗に次ぎ、負けが先行した。甲子園に限れば、15年4月11日から4戦連続で黒星。この間の防御率は7・97と、安定感を大きく欠いている。

 ▼阪神は今季、サヨナラ勝ちを収めた次の試合で3戦全敗。いずれも広島戦で、4月9日(甲子園)は延長10回に4失点し2-6。5月20日(甲子園)も延長12回に3点を許し1-4。終盤に突き放されるパターンが続いている。これでサヨナラ勝利の次戦で阪神は、昨年7月10日巨人戦(東京ドーム)から足かけ6連敗となった。