仙台の怒りはダテじゃない!? 「日本生命セ・パ交流戦」の開幕で阪神は1-9の完敗発進だ。オコエ瑠偉外野手(18)ら新人野手4人を並べるパ・リーグ最下位の楽天相手に拙守と貧打で見せ場なし。唯一の打点を挙げた上本が二塁守備で致命的なミスを犯すと続く打席で代打北條を送りベンチに引っ込めた。5位転落の金本知憲監督(48)は6月突入を契機にチームの激変を求めた。

 金本監督の顔は厳しく怒りにあふれていた。「開幕してからイージーミスが出っ放しだけどね」。必勝を期した交流戦初戦に大惨敗。だがいつものように敗因を1個ずつ振り返ろうとはしなかった。「明日ね。月も替わって新たにね。今日は今日でもういいから」。心は6月1日の第2戦。思い出したくもない屈辱負けだった。

 ★また拙守、守乱 目を覆いたくなるミスが続出した。5回は高山が岡島の飛球をグラブから落とした。2点ビハインドの7回は原口の野選に加え、二塁上本の一塁送球がそれ併殺を取れず傷口を広げた。今成も三遊間のゴロをつかめず2点打にし、ダメ押しの5失点。今季から天然芝に変わり土は甲子園を手がける阪神園芸が整備する“地の利”も生かせなかった。

 「楽勝でアウトやろ。言語道断や。送球ミスはあかん。細かいミスじゃなく大きなミスや」。高代ヘッドが激怒したのは上本に対して。併殺なら7回は2失点ですみ望みがあった。金本監督は直後8回の上本の打席で代打北條をコール。今季初スタメンで6回に則本から唯一の得点となる適時打を放った男を厳罰交代させた。

 ★新人4人にやられた 2番吉持、3番茂木、8番足立、9番オコエ。楽天はルーキー野手4人をスタメンに並べた。だが能見、榎田、秋山で計7安打2打点を献上。オコエにはプロ初ヒットなど2安打された。

 こんな試合をしていて則本に勝てるはずがない。打線は剛球と緩急で圧倒され、わずか3安打で完投された。金本監督は「150キロ近く投げられたら手も足も出ん。135キロの投手と同じタイミングで打てるわけがない」と怒ったが、懸命に話題を切り替えた。

 「明日は自分がやる、勝たせるんだという気持ちでやってくれると思う。絶対打って返す、しっかり走る、しっかり守るんだとね。でないとズルズルになる」

 東北福祉大時代を過ごした第2の故郷仙台での初采配。楽天星野副会長の激励も受けたが、パ・リーグの最下位相手に最悪の負け方だ。今日1日は新人青柳がプロ初登板初先発。ツキも呼ぶ勝利を願ってやまない。【松井清員】

 ▼阪神は交流戦黒星発進。14年以来2年ぶりで、交流戦開幕戦は通算4勝7敗1分け。これで5月は、4月と全く同じで11勝12敗1分けとなり、2カ月連続の負け越しとなった。

 ▼1-9の8点差負けは4月27日巨人戦での10点差(1-11)に次ぎ今季ワースト2位。また3安打は4月9日広島戦2安打に次ぎ、5月11日巨人戦3安打と並んで今季ワースト2位となった。