ソフトバンクの仕事人が、史上最年少での通算200犠打を達成した。今宮健太内野手(24)が中日戦の2回に送りバントを決め、24歳10カ月で節目に到達。92年川相(巨人)の27歳9カ月を抜くスピード記録だ。今宮は4回には5号ソロを放つなど2安打2四球で勝利に貢献。驚異的なペースで白星を重ねるチームを支えている。

 プロとして生き残る執念、そしてコツコツと積み重ねてきた練習から得た自信が、節目のバント成功につながった。今宮が2回無死一塁から、プロ通算200回目の犠打。史上最年少での偉業達成が場内アナウンスで伝えられると、うれしそうな笑みを浮かべた。

 「プロに入ってこんなにバントをするとは思わなかったけど送りバントができればいろいろ(作戦が)できる。これができないと使ってもらえない。プロでやっていく中で大事な仕事だと思った。でも、先輩たちが塁に出ていただいたおかげ。自分1人では達成できなかった記録。仕事ができたのはよしとして、感謝の気持ちでいっぱいです」

 プロ7年目。27歳9カ月で200犠打を達成した川相昌弘(巨人)を抜く、最年少24歳10カ月でのスピード達成だ。622試合目での到達は、590試合の川相に次ぐ歴代2位の記録。高校時代(明豊)には投手ながら通算62本塁打を放つなど、強打者として活躍。プロ入り後は13年から3年連続でリーグ最多犠打を記録するなど、守備だけでなく、バントの名手としても重要な役割を担ってきた。

 今季の打率はここまで2割3分5厘。「(犠打のサインが出るのは)僕が打たないから。打てればいいんですが。本当は打ちたい」と本音を漏らしたこともある。それでもサインが出ると、確実に走者を進めた。地道な努力の積み重ねが、この日大輪を咲かせた。

 小技の後には長打も待っていた。今宮は続く4回の打席にはリードを2点に広げる左越え5号ソロ。「思い切って振りにいきました。追加点が取れてよかったです」。8回にも左中間への二塁打。8試合連続安打で今季初の1番起用の期待に応えた。

 チームは前日1日、今季50試合目で初の完封負けを喫していたが、この日勝って交流戦も勝ち越しスタート。今宮は「欲を言えば、バントのサインが出ないような打者になることが最大の目標」と話すが、黒子に徹する男がいるからこそ、ホークスは常勝軍団であり続けているのだ。【福岡吉央】

 ▼通算200犠打=今宮(ソフトバンク) 2日の中日3回戦(ヤフオクドーム)の2回、捕手前に送りバントを決めて達成。プロ野球38人目。24歳10カ月での到達は、92年川相(巨人)の27歳9カ月を抜く最年少記録。初犠打は12年4月29日のロッテ5回戦(QVCマリン)。