鷹も神ってる!? ソフトバンクが、驚異的な粘りで延長10回サヨナラ勝ちだ。2死一塁、今宮健太内野手(24)が、この日4安打目となる左中間二塁打で大逆転劇を完成させた。8回、内川ら4連続適時打で一挙5点を奪って同点。勝利の流れ引き寄せた。2位ロッテとの直接対決で連敗を阻止。ゲーム差を再び7・5に戻した。

 ケリをつけたのは、ノッてる男今宮だった。延長10回、2死一塁。この日6度目の打席。初球、甘く入った変化球を逃がさなかった。打球が左中間を破る間に、俊足本多が一塁から一気に生還。今宮は泥だらけのユニホームで本多と抱き合い、サヨナラの余韻に浸った。

 「めっちゃうれしい。何とか次につなげようと思っていた。たまたま飛んだところがよかった。首位攻防戦だったので、連敗だけはできないと思っていた」

 5点差を追いついた8回の猛攻も今宮の四球からだった。吉村が死球で続き、3番柳田から6番松田まで4連続適時打。試合を振り出しに戻した。「あれが大きかった」。4回には2点を先制された後、2死二、三塁のピンチで清田の三遊間の打球を好捕し、一塁に好送球。伊東監督も抗議に飛び出す微妙なタイミングだった。6月に入ってから1番に座り続ける男の攻守にわたる活躍で、敗色濃厚だった試合をつかんだ。

 今季初の4安打。打率も2割7分3厘まで上昇した。「去年は2割くらいで1番を打っていて、いいのかなという気持ちもあったが、そういう気持ちになった時点で打てる確率は低い。でも今年はいい形で考えられている」と前向きだ。

 シーズン途中に打撃フォームにメスを入れ、ミートポイントをより前に変えたことが好結果を生んでいる。工藤監督も「すごいゲームだったね。打撃スタイルを変えてから、自信を持って打席に入っている」と目尻を下げた。負けていれば5・5だったロッテとのゲーム差は再び7・5差。今宮はお立ち台で声を張り上げた。「何があるか分からない、これがホークスの力だと思う。優勝するまでは安心していられない」。土壇場から連敗を阻止した底力が、3連覇を狙うホークスにはある。【福岡吉央】