DeNA筒香嘉智外野手(24)はネクストバッターズサークルから、ロペスのサヨナラ本塁打を見届けた。視線の先で打球が左翼スタンドに弾むと、険しかった表情を緩めた。直前までは強烈なオーラを放っていた。ロペスは高めに抜けた中日山井のフォークを打った。失投を投げさせたのは、筒香の圧力だったかもしれない。それほど、前の2打席の内容は圧巻だった。

 1本目は5回だ。右翼席最上段の「鳩サブレー」の看板を直撃し、グラウンドまで跳ね返った。「完璧だった」という当たりは推定140メートル弾。チームを鼓舞した。2本目は7回、今度は右中間スタンド最上部の「オリオンビール」の看板の上を悠々と越えていった。右中間場外では、通行人や涼んでいた人々が、UFOでも見つけたかのように、一斉に頭上を指さした。その中を大飛球が落ちてきたという。横浜公園の噴水の右側にゴツンと音をたてて着弾。驚異の155メートル弾になった。

 「外からは変わって見えないかもしれないけど、体の中の方では変えている。僕はそういうことをしょっちゅうやっている」と言う。この日も、体の中の感覚を変えて打席に立った。「今日の2本はいい感触でした。だいぶ良かったです」という当たりにつながった。存在感を見せつけた主砲は、ラミレス監督から「疑う余地のない日本の4番。私はそう信じている」と最高の賛辞を贈られた。連敗を4で止めたDeNA。筒香が打てば、強い。【竹内智信】