ゴエモンGOで、10勝目ゲットだ。ロッテの“五右衛門”こと石川歩投手(28)が楽天打線を5安打1失点に抑える完投勝利。球団では初となる、新人から3年連続2ケタ勝利を達成した。リーグ10勝一番乗りは、球団では12年の成瀬以来だ。3年目で着実にエースへの階段を上昇中。逆転優勝への原動力となる。

 打球を見届けた石川は、マウンドで両膝に手をついた。9回2死走者なし。楽天今江にバックスクリーンへ運ばれた。完封目前で刻まれた1失点に「かなりもったいなかった。簡単にいったわけじゃないですが…」と悔しがった。それでも切り替えて、次打者アマダーを見逃し三振。新人から3年連続10勝で、球団史に名を刻んだ。

 大量リードにも油断はなかった。序盤から味方打線が爆発。どんどん援護が増える中、「先頭だけ切ろう」と意識。直球は140キロ前後にとどまったが、シンカー、カーブでテンポよくストライクを稼ぐ。だから、2回、7回と走者を背負った場面では、好守に助けられた。勝利は確信したが、「6、7回ぐらいで最後まで行こうと。点を取られたら交代と思って」完封を狙った。失点を悔やんだのには理由があった。

 球団初の快挙も「競った試合は少ない。打線が調子良いので」と偉ぶらなかった。モヤモヤを抱えていた。前半戦を終えた後、こう明かした。「状態は良くないです。球自体は去年とあまり変わらない。なぜ勝てるのか、分からないですね。(状態が)良い時に勝てない。良い時に勝ちたいんです」と切実に言った。自らの状態と勝敗が一致しない。それでも勝ってるんだから、とは思わなかった。より良い内容を求めながら、投げている。この日は一致した。「これぐらいの調子で、これだったら良いですね」。素直に喜べた。

 世界中でブームを起こしているアプリ「ポケモンGO」が日本でも配信が始まった日、9回までゴエモンがGO! 節目の白星をゲットした。「ダウンロードしたかったけど、登板日なのでやめときました」と笑って明かした。これからも、白星ゲットを目指す。【古川真弥】

 ▼和田(ソフトバンク)有原(日本ハム)石川(ロッテ)の3人がそろって10勝に到達。同じ日に3人が10勝目を挙げるのは14年8月12日にメッセンジャー(阪神)久保(DeNA)スタンリッジ(ソフトバンク)が記録して以来だが、今回の3人はパ・リーグの10勝一番乗り。過去に2人が10勝一番乗りはセ・リーグで3度(64、92、93年)パ・リーグで4度(58、78、91、07年)あるものの、3人がリーグ10勝一番乗りは両リーグを通じて初めて。