日本ハムの勢いが止まらない。一気呵成(かせい)の逆転劇でオリックスを下し、今季2度目の5連勝。パ・リーグでは51年ぶりとなる21試合で20勝の快進撃だ。2点を追う7回、大野奨太捕手(29)の走者一掃二塁打で逆転。この回、打者11人の5安打6得点で試合をひっくり返した。積み上げた貯金は、12年の栗山英樹監督(55)就任後最多となる「22」。ナイターで首位ソフトバンクが敗れ、3・5ゲーム差まできた。 札幌ドームが興奮のるつぼと化した。1点差に迫った7回1死満塁。選手会長兼主将の大野が迷いなく振り切った。「正直、うれしかった。かなり興奮した。鳥肌が立ちました」。左中間を破る走者一掃の逆転適時二塁打に、右手を突き上げながら走りだした。

 勝負どころを見逃さなかった。6回まではディクソンに2安打に封じられ、二塁すら踏めなかった。口火を切ったのは、7回先頭、4番中田の中前打。1死満塁と好機を広げると、栗山監督は左打者の谷口に代えて右の代打矢野を送った。「あそこは勝負。一番の勝負を打てるところ」。百戦錬磨のベテランはフルカウントからの6球目、外角低めのナックルカーブを見極め、押し出し四球を選んだ。「アレを(ストライク)取られたら、しょうがないと思った」。

 腹をくくって見逃し、奪った1点が、試合を決めた。大野に続いて中島、陽岱鋼にも適時打が生まれ、この回6得点。今季7回の総得点は58点。初回の62点に次ぐ「ラッキーセブン」で、勝利の道筋は見えた。

 記録的な快進撃が続く。6月19日中日戦から21戦で20勝1敗。貯金も栗山監督就任5年目で最多「22」に積み上がった。「僕が(貯金を)作ったわけではない。選手たちが作ってくれている。本当に、いい試合だった」。試合後の指揮官は、心地よい充実感に浸っていた。決勝打の大野はお立ち台で約束した。「(ソフトバンクと)直接対決をやるまで負ける気はないので、そこまで勝ち続けます」。3・5ゲーム差まで詰めた宿敵とは、29日からホームで3連戦。一気にパのてっぺんまで駆け上がる。【木下大輔】

 ▼日本ハムは6月19日中日戦から21試合で20勝1敗。パ・リーグで21戦20勝は54年8~10月南海(18連勝→●→8連勝)65年6~7月南海(10連勝→●→12連勝)に次いで51年ぶり3度目。セ・リーグでも21戦20勝は51年6~8月巨人しかなく、2リーグ制後4度目だ。これで札幌ドームでは6月12日阪神戦から10連勝。日本ハムの本拠地球場連勝記録は東映時代の61年に駒沢球場でマークした11連勝だが、札幌ドームで10連勝は09年6~7月に次いで2度目のタイ記録。