オリックスの「内海2世」が7年目で待望の初勝利を挙げた。山田修義投手(24)が自己最長タイの6回1/3を1失点。1回に先制されたが、鋭い直球とツーシームを武器に最少失点にとどめた。球団関係者が「(女優の)栄倉奈々に似ている」というイケメン左腕が喜びを爆発させた。

 「本当に良かった。今日は高校の監督の誕生日。『勝てよ』と言われていたし、勝てて良かった」。母校である敦賀気比(福井)の東哲平監督(36)の記念日に花を添えた。通算10度目の先発。初登板初先発は1年目の10年9月5日ソフトバンク戦。そこから5年10カ月が経過していた。

 敦賀気比では巨人内海の後輩。期待されて入団した。だが座右の銘である「日々前進」とは裏腹に苦難の連続だった。14年4月には左肘のトミー・ジョン手術を受けた。その1カ月後に絶望感が待っていた。

 「ギプスを取った時に、肘の曲げ伸ばしができなくて。これって治るんだろうかと…」。オフに育成選手に“格下げ”。背番号121からの再出発を支えたのは、家族の力だった。

 いつも妻がそっと励ましてくれた。「料理がうまい。いい嫁さんです。僕の好きなソースカツ丼も出してくれますよ」。福井名物ソースカツ丼がパワーの源。大阪出身の妻は山田の母親にレシピを聞き、家庭の味を再現したのだった。

 昨年11月20日には第2子となる長男が誕生。2人の子供が携帯の待ち受け画面で笑っている。「家族の支えが大きかった。(記念の)ボールは家に飾ります」。そう言うと、再び笑顔が輝いた。【大池和幸】

 ◆山田修義(やまだ・のぶよし)1991年(平3)9月19日、福井県生まれ。小1から野球を始め、敦賀気比では1年秋からベンチ入り。2年春、3年夏に甲子園出場。3年夏の福井県大会では大会通算奪三振数49をマークし、先輩の巨人内海の大会記録(43個)を更新した。09年ドラフト3位でオリックス入団。184センチ、85キロ。左投げ左打ち。