巨人が4番阿部慎之助捕手(37)のバットで、連敗を3で止めた。4回2死二塁からの先制適時打を含め、3安打2打点と活躍した。連続試合安打が23で止まった11日DeNA戦から3試合連続無安打と沈黙すると、チームも3連敗。今季3度目の猛打賞を決めるとともに打線も14安打9得点と勢いを取り戻した。首位広島も勝利したため6・5ゲーム差は変わらないが、あきらめずに背中を追う。

 主軸を張る責任感が、コンパクトなスイングを生んだ。4回2死二塁。阿部はヤクルト館山の外角球を強振しない。両腕をしっかり伸ばして中堅へとはじき返した。16打席ぶりの快音でチーム初安打となる中前適時打を放つと、6回には中堅フェンス直撃の適時打。8回にも3安打目を記録。「何とかしよう、とね」と、ホッとひと息ついた。

 4番の出来が勝利に直結した。阿部の4番は今季17試合で、安打を打てば12勝2敗。11日に連続試合安打が23で止まると同時に3試合連続ノーヒットに陥ると、首位広島を猛追していたチームの勢いもぴたりと止まり、手痛い3連敗を喫していた。この日の猛打賞でチームの連敗は3で、神宮での連敗は6でストップ。阿部は「(4番が)打つと点が入るね、やっぱり」と喜びをかみしめた。

 一振りに懸ける思いが、今までよりもさらに強い。V奪還のためになりたいと決意した「捕手復帰」は、右肩を痛めた影響もあって実現できていない。チームへの申し訳なさと自責の念を強く持つ。「今年は本当に打たなきゃいけないと思っている。じゃないと貢献したことにならない」。現状でチームに最も貢献できる手段は、打ちまくること。今回の3連戦も、東京ドームで打ち込んでから神宮球場入りして備えていた。

 連敗を止めたものの、広島とのゲーム差は6・5のまま。それでも阿部が「来週につなげられるようにしたい」と言えば、高橋監督も「(阿部は)昨日は打ててなかったけど今日はきっちりいいところで先制打を打ってくれた。連敗を止められたし、気持ちを切り替えて頑張ります」と16日からの中日3連戦(ナゴヤドーム)を見据えた。「メークドラマ」の再現を信じて、4番の一打から、巨人が再び猛追態勢を整えた。【浜本卓也】