マンガのようなストーリーは、まだあった。日本ハム大谷に、前代未聞の超スクランブル登板プランが浮上した。野手として24試合連続出場中だが、投手復帰に向けても調整中だ。首脳陣は先発復帰前に救援を挟みたい意向だが、その場合は打者としての出場機会を制限しなければならない。栗山監督は「あらゆる可能性を検討している。最初打席に入れてから登板させるとか、いろんな幅がある」と、プランの1つとしてDH先発からマウンドに上る“ウルトラC”も候補だと明かした。

 ルール上は、試合途中でDHの選手が守備に就くことは可能。試合終盤などパ・リーグの試合でも、この事例はたびたびある。だが守備に就く場所がマウンドとなれば、これは二刀流の大谷ならでは。プロ野球史上でも、大差がついてファンサービスの意味が強かった95年の西武デストラーデ以来、例がない。

 メリットはもちろん、打率3割4分8厘、19本塁打、50打点と、いまや主軸打者としての力を損なわないこと。DHは打席以外は基本的にベンチ待機。この時間を有効活用すれば、ブルペンで準備をし救援としてマウンドに上がることも不可能ではない。「どうすれば一番チームが勝ちやすいかを考えている」と指揮官。すべては、ソフトバンクとのマッチレースを制するためだ。【本間翼】

 ◆DHの救援 95年5月9日オリックス-西武戦(富山)で、0-9と大量リードされていた西武は8回裏2死走者なしから、「5番DH」のデストラーデがマウンドへ。しかし、三塁打、四球、四球と満塁にして1死も取れずに降板した。当時の東尾監督の采配に、相手の仰木監督は「ちゃめっ気があってええ」とコメント。大谷が実現すればデストラーデ以来となる。