最下位に沈む中日が、満塁弾と1イニング7得点を2試合連続で決めて快勝した。見せ場はいきなり来た。初回、3点を奪い、なお1死満塁。8番杉山が左翼ポール際に人生初のグランドスラムをたたき込んだ。今季、満塁で4打数3安打の杉山は「とにかく1点でも多く、何とか走者をかえしたいと思った。無我夢中で振りにいった」。チーム2試合連続満塁弾は06年にウッズが1人でマークして以来だった。

 「ポスト谷繁」として正捕手に座る人材を育てることが急務だった今季、杉山と桂の併用が続いた。9日に谷繁監督が事実上の解任でチームを去った。それと同時に、故障で正捕手争いをしていた1学年下の桂が2軍降格。監督代行を務める森ヘッドコーチの「1人をずっと使っていかないと。代わりばんこでは育たないだろう」という方針もあり1試合を通じてマスクをかぶる機会が多くなった。

 森ヘッドも「あれ(満塁本塁打)がなかったら今ごろやられていた。これを続けてくれたら」とうなずく。プロ初の5打点もマークした4年目捕手は「監督が代わったとか、桂がケガしたとか邪念はいらない。自分のやることをやらないと信頼を得られない」と気を引き締めた。【宮崎えり子】