起死回生の一打は放てなかった。日本ハム大谷の登場は試合の土壇場だった。4点を追う最終9回1死一、二塁。にわかに追い上げムードが高まった場面。さらなる追い風を吹かす期待を込められ、代打で登場した。「単打でみんなつないでいた。長打は考えていなかった」。後ろへつなぐことだけを意識していたが初球は見逃し、2球目はファウル。広島の守護神、中崎に簡単に追い込まれ、4球目の内角への142キロ直球で空振り三振に倒れた。

 ベンチから声援を送りながら、じっと出番を待っていた。打順が3回り目に入った試合中盤から、心の準備は出来ていたが打線は5回から8回まで無安打。4イニング連続で3者凡退。栗山監督は「勝ちに行っているんで」と、最後に訪れたチャンスで満を持して送り込んだが実らなかった。「代打なので、1球で攻めたかったけど、なかなかいけなかったですね」。今季はレギュラーシーズンで3度の代打機会があったのみ。その中で1本塁打を含む2安打と勝負強さを発揮していたが、この日は結果が伴わなかった。

 先発登板した第1戦は自身のミスも響いて黒星。第2戦は、とっておきの代打として登場も苦境を打開できなかった。悔しい連敗スタートも今日24日の移動日を挟み、明日25日からは本拠地・札幌ドームに舞台が変わる。「1人1人がやれることやれば勝てる」。この2戦で適時打なしに終わった打線に大谷がDHで戻る予定。まずはバットで、巻き返しの起点をつくる。【木下大輔】

 ▼大谷が9回に代打で出場。シリーズで先発した投手が次の試合で代打に出たケースは、54年大島信雄(中日)が西鉄との第3戦で先発投手→第4戦で代打(右飛)以来62年ぶり。