赤ヘルファンに、チームに、そして黒田にわびた。シリーズ初の延長戦はキーマン大谷にサヨナラ安打を浴びる最悪の形で終わった。広島緒方孝市監督(47)は試合を振り返り、キッパリと話した。

 「DHで大谷が入り、4番(中田)翔が勝負どころになるという想定。特に接戦では分かっていた。勝ちきれるチャンスがあった中で勝ちきれなかったのは自分の責任。申し訳ない」

 最初の節目は8回裏に来た。1点リードの1死二塁で打者は大谷。畝投手コーチをマウンドに送り、敬遠策を取った。しかし直後の中田に逆転2点適時二塁打を浴びた。次は同点の10回裏だ。2死二塁で再び大谷を迎える。ここも畝コーチがマウンドに行った。伝えたのは「勝負」だ。

 「(10回は)西川を出した時点で一、二塁、あるいは二塁でも大谷でしっかり勝負していけ、と。8回は違います。攻め方、ボールの球筋を考えて自分の中で判断した。でも全部裏目に出てるんで。自分の責任です、これは」

 つとめて冷静に振り返ったが、顔面は少し青くなっていた。1つ1つの場面でくやしさ、腹立たしさはあるが特に大きいのは黒田に対する気持ちだろう。

 「黒田がいい投球をしていた、粘って投げていただけにね。なんとか、チームとして勝ちたかったね…」。そう話し、ため息をついた。引退を決めた黒田のために地元・広島での登板もあるか予想されたが今季の実績、調子などを考えて「第3戦先発」を決めた。

 「黒田のためのシリーズではない。黒田といっしょに日本一になる。それが大事なんだ」。そう説明していた。それだけに誰よりも黒田に白星をつけさせたかった指揮官の無念さが伝わってきた。【高原寿夫】