ヤンキース田中のように、東北の輝く星になってほしい。楽天星野仙一副会長(69)が交渉解禁日の11日、都内のホテルで、西武から海外FA宣言をした岸孝之投手(31)と約1時間の初交渉に臨んだ。4年で最大16億円(推定)に達する大型契約に加え、背番号「11」も提示。交渉の席では、則本との2枚看板で13年以来の日本一の力になってほしいと熱っぽく口説き倒した。
楽天を変えられる「東北の星」に願いを託した。初交渉を終えた星野副会長が熱っぽくまくしたてた。
星野副会長 彼は被災があった東北の星。僕が思うに、地元で何か手伝いたい気持ちがあるだろう。2年前、楽天から東北の星が1人消えた。もう1度、奇跡の扉を全開にしてほしい。たった1人でも、チームは大きく変わるものだから。
テーブルを挟んで向かい合った約1時間に、精いっぱいの思いを込めた。通算103勝の実績を残した実力には「最近では珍しいくらいの投手」と最大級の賛辞を贈り、人間性についても「クールでありながら芯の強い、東北独特のナイスガイ」と好感を抱いた。「長年いたチームから手を挙げるのは、相当な決断だっただろう。だからこそこちらも熱く語ってきた。会ってくれたということは、前向きに考えてくれるものと受け取っている」。交渉後は手応えを隠さなかった。
仮に移籍となれば、即座に大役を託す可能性がある。新人から4年連続開幕投手を務めた則本が、3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場が濃厚とあって来季の開幕投手が微妙な状況。同副会長は「それは監督やコーチが決めること」としながらも、則本との2枚看板を託せる右腕を高く評価。獲得なら有力候補となる。
現段階では2度目以降の交渉の予定はなく、新たな説明が必要ならばその都度検討していく方針。「家族と相談しなければいけないし、他の球団との話もあるだろう。連絡を待つよ。俺はいつでも予定を空けてるから」と、本人の意思を尊重して待つ。大型契約に背番号、そして獲得に向けた最大級の熱意。全てを預けた上で吉報を待つ。【松本岳志】
◆FA移籍1年目の開幕投手 移籍1年目に開幕投手を務めれば11年山本(オリックス→横浜)以来となるが、山本は交換トレード。過去にFA移籍1年目では95年工藤(西武→ダイエー)と00年星野伸(オリックス→阪神)の2人がいる。工藤は古巣西武相手に3回2/3を投げ8失点、星野伸は横浜戦で2回5失点と、2人とも開幕戦を白星で飾れなかった。
<FA口説き文句メモ>
◆93年巨人長嶋監督=槙原 「奥さんにも力を貸してもらったので、そのお礼も兼ねまして」と、17本のバラを携えて自宅を訪問。
◆96年巨人長嶋監督=清原 「思い切って僕の胸に飛び込んで来て欲しい」と口説き、ライバル阪神との争奪戦に成功。
◆96年阪神吉田監督=清原 「ユニホームのタテジマをヨコジマに変えてでも君が欲しい」と最大限の誠意を表すも、獲得に失敗。
◆99年巨人長嶋監督=工藤 福岡市の工藤宅をアポなしで訪問。「男の花道を飾ってくれ」と口説き、その夜に巨人入りが内定。
◆02年阪神星野監督=金本 「優勝するために必要な戦力だ。みんなの力で阪神を変えて優勝しよう」と直接出馬で説得。



