ソフトバンク東浜巨投手(26)が15日、「ナオボール」習得への意気込みを明かした。宮崎秋季キャンプで、佐藤投手コーチの現役時代の決め球、「ヨシボール」を伝授されて挑戦中。東浜は「意外と使えそう。試合になったらどうなるか分からないけど、備えがあれば」と話す。まだキャッチボールの段階だが、小さく速く、真下へ鋭く変化する新球だ。

 東浜の持ち球は、亜大時代のツーシームを改良したシンカー、スライダー、カーブ、カットボール。落ちる球の習得は課題でもあった。数日前から教えている佐藤投手コーチは、「シンカーも不安定だし、フォークの代わりだよ」と話す。

 今季は入団4年目で初めて先発ローテーションに入り、9勝を挙げた。だが、9月9日オリックス戦の初回、その日初めて投げたスライダーが曲がり切らず、中島に先制3ランを許すなど苦い経験もした。シンカーも変化しきれず、痛打される場面もあった。

 あと1勝届かなかった2桁勝利へ。その強い思いが新球挑戦へ向かわせた。昨年春も1度、「ヨシボール」に挑戦したが、モノにできなかった。佐藤コーチのように抜く感覚が分からなかった。だが、今回は違う。東浜は「同じ握りでも、引っかけるように投げたら落ちた」と、自らアレンジを加えて手応えをつかんだ。縦の変化球を覚えることで、苦手な外国人打者対策にもなる。来季は開幕ローテーションに入り、信頼される柱になるべく、「ナオボール」で投球の幅を広げる。【石橋隆雄】

 ◆ヨシボール ソフトバンク佐藤投手コーチが阪急(オリックス)での現役時代に武器にした落ちる変化球。名前の「義則」から愛称がついた。指が短く、フォークが投げられず中指、人さし指の2本を横にして、親指の間に挟み、その間から抜くように投げた。