函館大の吉田雅貴投手(4年)が来春、社会人野球の新日鉄住金鹿島入りする。1年秋に北海道6大学リーグの最優秀投手賞、優秀選手賞を獲得。今秋には最速151キロをマークし、ドラフト候補にも挙がった快速右腕は、都市対抗で3度3位の実績を誇る強豪チームで力をつけ、2年後のプロ入りを目指す。

 夕方、函館大野球部のビニールハウスで後輩たちと汗を流す吉田の顔に、覇気が戻ってきた。「ドラフト(10月20日)が終わってから数日間は立ち直れなかった。今は社会人ですぐに結果を出して、2年後にドラフト1位で入団することが目標です」と切り替えた。

 入部する新日鉄住金鹿島は都市対抗野球出場15度、4強進出3度を誇る名門。練習に参加した際には、昨年まで阪神に在籍した同じ右腕の玉置隆投手(30)からプロの厳しさを聞き、スライダーの握り方の指導も受けた。「入部した時にはまた教えてもらえると思うし、刺激は大きい。1年目から主戦として試合に出たい」と目を輝かせる。

 自信はある。昨冬、10キロの体重増を自らに課した。茶わん1杯だったご飯を3、4杯に増やし「苦しい時にはみそ汁で流し込んだ」。今秋のリーグ戦では自己最速を4キロ更新する151キロをマーク。「来年の開幕までにはフォークボールもものにしたい」と貪欲だ。

 大学1年の秋のリーグ戦では、北海道教大函館を相手にノーヒットノーランを達成。東農大北海道との優勝決定戦では、日本ハム井口、ヤクルト風張、今年のドラフトで日本ハムに8位指名された玉井の3本柱と9回まで投げ合い無失点に抑えた。降板後の延長16回サヨナラ負けで全国には届かなかったが、リーグ最優秀投手に選出された。「相手の3人は全員がプロになった。早く追いつきたい」と言う。

 ドラフトでは、プロ5球団から調査書が届いたが指名はなかった。小学4年から始めた野球生活で「一番衝撃的で、つらい1日だった」と振り返る。「野球生活で1度も全国大会に出たことがないし、そこが自分の甘いところ。社会人では、必ず自分の力でチームを全国大会に出場させて、プロ入りをアピールします」。悔しさをバネに、吉田が飛躍を期す。【中島洋尚】

 ◆吉田雅貴(よしだ・まさたか)1994年(平6)9月16日、秋田県潟上市生まれ。潟上追分小4年で野球を始める。秋田中央高2年夏に背番号10で県大会準優勝。同年秋の東北大会進出。高3は県大会初戦敗退。函館大では1年春に先発デビュー。同年秋は5戦無敗で最優秀投手、優秀選手、ベストナイン、2年春に優秀投手。右投げ左打ち。血液型B。家族は両親。176センチ、77キロ。