西武のドラフト1位、作新学院・今井達也投手(18)が20日、栃木・ホテル東日本宇都宮で入団交渉に臨み、契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1300万円で合意した。ドラフト指名直後から手本にしたいと名前を挙げていた岸が、FA権を行使して楽天に移籍。これを受け、夏の甲子園優勝投手は「代わりに自分が早く貢献できるようになりたい」と、元エースの穴を埋めることを目標に掲げた。(金額は推定)

 仮契約を済ませた今井は、報道陣向けのフォトセッションのため、ホテル内のクリスマスツリーの前に移動した。カメラマンに「笑顔を」と求められるが、はにかむように笑うのが精いっぱい。それでも、生来のルックスの良さも手伝い、スター候補生の雰囲気を早くも漂わせた。

 しかし、門出の席の華やかな雰囲気が、囲み取材が始まると一変した。FA権を行使し、楽天へと移籍した岸について聞かれた瞬間。柔和な表情を引き締め、今井は語気を強めた。

 今井 正直、残念なところもありました。でもチームの中心選手がいなくなって、戦力が落ちるとすれば、早くそこに入って勝利に貢献したい。そういう気持ちが、ニュースや記事を見るたびに強くなりました。

 プロ入り当時の身長、体重は、自分と同じ180センチ、70キロ。少し細身の身体をしなやかに使い、キレのあるボールを繰り出す。そんな岸を、今井は西武から指名を受けた当初から「お手本にしたい」と考えていた。だからこそ、移籍は残念だった。それでも「プロ」として、すぐに気持ちを切り替えた。

 フォトセッションで手にした色紙には「開幕一軍」の文字が躍った。球団も期待を寄せる。編成部の前田育成アマチュア担当部長は、この日発表されなかった背番号について「楽しみにしていてください」と示唆。岸が抜けた11番、かつて西口が背負った13番と、10番台には大事な番号が残っている。

 今井は「西口さんのように息が長い投手になりたい」と長期的な目標も掲げた。ファンの間では、日本ハム大谷に投球フォームがそっくりともいわれるが、「光栄ですけど、自分の身体にあったもっといいフォームがあると思う。似せていくのではなく、そっちを追求したい」とキッパリ。岸とも大谷とも違う形で、球団を背負って立つ存在を目指す。【塩畑大輔】