中日4位指名の新潟医療福祉大・笠原祥太郎投手(21=新津)が21日、新潟市内のホテルで仮契約を結んだ。契約金4000万円、年俸800万円(金額は推定)。日本ハム大谷と同世代で、プロ入りの実感が湧くと、最速147キロの速球を150キロ台に乗せることに意欲をみせた。12月12日、ホームの名古屋で行われる入団発表で「中日笠原」がお披露目される。

 球団マスコットのドアラのぬいぐるみを抱き、中日の帽子をかぶった笠原は、満面の笑みでカメラのフラッシュを浴びた。球団の帽子をかぶるのはこれが初めて。「プロ仕様」の自身の姿をデジカメ画像で確認すると、「あまり変わりないですね」と照れくさそうに笑った。

 仮契約後に行われた会見には、県内を中心にマスコミ17社が集まった。そんな中でも笠原はマイペースだ。「寮に持っていくものは、まだ決めていません」「数字的な目標は、まだ特にありません」と、おっとりとした口調は変わらない。契約金は「家族のためと貯金に使います」。妹ゆきのさん(新津3年)が新潟医療福祉大に進学希望。そのため「学費を出してやりたい」と、温和な雰囲気そのままの優しさもみせた。

 新潟医療福祉大の佐藤和也監督(60)は「注目を浴びるようになっても、今までと変わらず淡々と練習している。それがすごい」と、堂々とした様子に感心。野球部を引退後も後輩部員に交じって練習を続けており、ダッシュ、インターバル、長距離走と走り込み中心のメニューを消化する。「シーズン中より走っている」(笠原)と、忙しい日々を送っている。

 心の奥底には、プロでの自分のイメージがある。最速147キロの速球が最大の持ち味。「150キロ台は魅力があります」と、大台に乗せることを1つの夢にする。投げ合いたい投手には「リーグは違うけど(日本ハム)大谷翔平投手と対戦したい」と指名した。日本最速165キロを誇る同学年の剛腕への興味を隠そうとしなかった。

 会見に同席した中日の中田宗男スカウト部長からは「打者が最も嫌がるタイプの投手。向かっていく投球で球界を代表する投手になってもらいたい」と期待をかけられた。中日ではベテラン岩瀬があこがれの存在という笠原は、「活躍できる投手になりたい」。短い言葉に、プロ入りの実感と決意を込めた。【斎藤慎一郎】

 ◆笠原祥太郎(かさはら・しょうたろう)1995年(平7)3月17日、新潟市生まれ。結小2年のときに荻川スポーツ少年団で野球を始める。新津二中、新津高と投手。高3の夏の県大会は2回戦で敗退。新潟医療福祉大に進み、2年秋の群馬大戦でノーヒットノーランを達成。今年の春季リーグでは6勝、防御率0・72で最多勝、最優秀防御率を獲得し、ベストナインにも選ばれた。177センチ、85キロ。左投げ左打ち。血液型A。