DeNAが“世界一補強”を敢行した。今季、108年ぶりにワールドチャンピオンになった米大リーグ・カブスの一員だった救援右腕スペンサー・パットン(28)を獲得することが22日、分かった。守護神候補としても期待がかかる、勝ちパターン投手の補強で19年ぶりの日本一奪還へ突き進む。

 パットンは最速154キロの速球と切れのあるスライダーを武器とする。メジャー通算でもイニング数(54回2/3)を上回る58三振を記録しているが、マイナーレベルではその能力は突出している。今季守護神として11セーブを挙げた傘下3Aアイオワで驚異的な奪三振率(14・75)をマークし防御率0・75と圧倒的な成績を残した。

 メジャーで目立った実績はないものの、要所ではチームの勝利のために外野も守るおとこ気を見せて世界一に貢献した。延長15回までもつれた6月28日のレッズ戦だった。知将マドン監督がパットンに命じたのは、かつて阪神が「遠山・葛西スペシャル」と呼んだ緊急シフト。1アウトごとに投手→左翼→投手と慌ただしく動きながら無失点に抑え、イレギュラーな起用に見事に応えた。

 関係者の話を総合すると、すでに水面下での交渉は基本合意に達しており、今日23日にも正式発表される見込みだ。今季は球団史上初のクライマックスシリーズ(CS)進出を果たした一方で、シーズン終盤は守護神山崎康を軸とした勝ちパターンが固定できない試合が続いた。勝利の方程式の再構築は、頂点を目指す来季に向け、重要課題になっていた。

 今オフは三塁手候補としてBCリーグの石川からアンディ・シリアコ内野手(29)を獲得。さらに、先発ローテ候補のマリナーズなどでプレーしたジョー・ウィーランド投手(27)の加入が発表されている。来季2年目のラミレス監督は「補強は高田GMに任せている。用意していただいた戦力で全力を尽くし、優勝を目指して戦う」と約束。98年以来の歓喜へ、助っ人が固まってきた。

 ◆スペンサー・パットン 1988年2月20日、米イリノイ州生まれ。南イリノイ大から11年ドラフト24巡目(全体726位)でロイヤルズ入団。14年に3Aパシフィックコースト・リーグのオールスター選出。同年レンジャーズに移籍し9月に初昇格。昨オフにカブスへトレードされ今季終了後に自由契約。185センチ、91キロ。右投げ右打ち。