巨人菅野智之投手(27)が27日、今オフに新球チェンジアップの習得に挑戦する意向を示した。今季は最優秀防御率、最多奪三振の2冠を達成したが、プロ5年目に向け、落ちる球の精度向上を課題に設定。左打者対策、球数減少が狙いで、フォークとともに、新球のチェンジアップにも取り組む。すでに、来季の開幕投手が内定。飽くなき探求心で、さらに進化する。

 今オフのテーマを聞かれ、菅野は「試したい球種が1つあります」と言って、言葉を続けた。「今年はフォークがダメだった。フォークになるのか、チェンジアップになるのか。(試すのは)落ちる球です」。東海大時代から、多彩な球種を持ち、プロ入り後は新球に取り組むことはなかったが、プロ5年目に向け、これまで1度も投げなかったチェンジアップ習得に挑戦する。

 明確なビジョンが、新球習得の裏に隠される。今季は最優秀防御率、最多奪三振の2冠を達成したが、後半戦は球数の多さが課題に挙がった。打線の援護が少なく、慎重な投球が求められたのも事実だが、落ちる球があれば、シンプルに三振を取ることが可能。対左打者に有効で、150キロを超える速球で圧倒しながら、追い込めば落ちる球で空を切らせる。

 自らの心に刻む言葉が、菅野を進化させる。「変わらない信念、変われる勇気」がモットーで、今季は1年目以降は封印したワンシームを解禁。150キロを超える、動く“速球”で打者を手玉に取った。「今年は序盤にワンシームがいいところに決まったが、相手も研究してくると思うので」と新たな球種で幅を広げ、研究する相手チームに対して、新たな策を講じる。

 来季は、日本一&世界一の2つの大きな目標に挑戦する。3月に行われるWBCは代表選出が濃厚。決勝に進出すれば、中7日でシーズンの開幕を迎える。すでに秋季練習中に、高橋監督から開幕投手への思いを聞かれ「投げたいです」と志願。早期内定を受け「がぜんやる気が出るし、責任感を持ってやりたい」と決意を込めた。エースはさらに進化を遂げ、17年シーズンのマウンドに上がる。【久保賢吾】

<菅野の持ち球>

 ◆直球 プロ最速は、昨年プレミア12の米国戦と7月28日の広島戦で記録した155キロ。

 ◆カットボール 130キロ台後半~140キロ台中盤で、打者の手元で鋭く曲がる。

 ◆スライダー 120キロ台後半から130キロ台前半で曲がりが大きく、空振りが計算できる。

 ◆カーブ 120キロ台のパワーカーブと110キロ台のカーブを操る。

 ◆フォーク 130キロ台中盤~後半で空振りを狙いたい時に選択する。

 ◆ワンシーム 最速は150キロを超え、打者の手元で微妙に動く“速球”。プロ1年目以降は封印したが、今季から解禁した。

 ◆ツーシーム ボールの握りの違いはあるが、ワンシームと類似。2、3年目は使ったが、今季はワンシームを多用した。