巨人菅野智之投手(27)が28日、東京・大手町の球団事務所で契約更改交渉に臨み、1億円増の2億3000万円(金額は推定)でサインした。入団5年目の年俸で2億円到達は上原、高橋由らに並んで球団最速。今季は防御率(2・01)と奪三振数(189)で2冠を獲得したエースは、来季のテーマを「頂(いただき)」とした。来年3月のWBCの代表選出も濃厚で日本一&世界一のダブル頂点を目指すと宣言した。

 1億円アップにも、満面の笑みとはいかなかった。菅野は勝ち星こそ9勝ながら、防御率2・01で2年ぶりとなる最優秀防御率を手にした。最多奪三振のタイトルも獲得し、入団5年目の来季年俸が2億円の大台を突破。上原と高橋由という偉大な先輩と並ぶスピード記録を達成した。だが会見場でほおを緩めることは、ほぼなし。「今年はチームとしても、個人的にもタイトルは取りましたけど、ふがいないシーズンだった」とエースとして2年連続V逸の責任を受け止めた。

 だからこそ、来季のテーマ設定はシンプルだった。今季は「圧倒」する投球を掲げたが、来季は「頂」に決めた。チームの日本一はもちろん、菅野自身も日本一の投手を目指すとの誓いを込めた。「自分がしっかり引っ張っていけば、チームの優勝に近づくというのは誰もが分かっているところ」と、3年ぶりのリーグ制覇に向けて右腕を振り続ける覚悟だ。

 実現に向け、今季の教訓を生かす。シーズン中も鍛錬を欠かさない菅野だが、今オフは「積極的休養」を自分に課す。DeNAとのCSファーストステージは、体調不良で登板できずにラストを迎えた。「心技体という言葉がありますけど、自分は体心技って順番で考えます」。来年3月にはメンバー入りが濃厚なWBCが控え、シーズンでは4年連続の開幕投手も内定している。長い1年をチームの軸として戦い抜くため、まずは自主トレ先のハワイに旅立つ12月中旬までに体をフル充電させ、そこから新球チェンジアップ習得などに着手する計画だ。

 「コンディションさえ整えられれば自分の力は発揮できると思う。自分の力を発揮すればどんなバッターでも抑えられると信じている」。大きく羽ばたくために、しばし羽を休めてから、日本一&世界一の頂に挑む。【浜本卓也】

 ▼菅野が1億円増の2億3000万円で契約更改。プロ5年目までに2億円到達は、今季に4年目で到達した大谷(日本ハム)に次いで11人目だ。巨人で5年目は高橋由、上原、マイケル中村(日本ハムから移籍)に次いで4人目の最速タイ。巨人で昇給額1億円以上は、坂本勇(15年2億5000万円→16年3億5000万円)に次いで19人目。