荒川博氏の指導で「一本足打法」を確立し、通算868本塁打を記録した王貞治氏(76)は4日夜、荒川氏が亡くなった東京都内の病院に駆け付け「練習をやらなきゃ駄目なんだ、やれば結果が変わるんだということを教えていただいた。一人ではなかなか行けない境地を教えてもらった」と亡き恩師をしのんだ。

 中学時代に出会い、荒川氏の母校、東京・早稲田実業高に進学。巨人で厳しく指導された日々を「しんどい思い出しかない。朝昼晩バットばかり振った。手、足から血が出た」と振り返った。それでも、荒川氏から「打てるようになりたいんだろ」と励まされたという。「一緒に練習した人もいたが、最後まで続いたのは私だけだった。私も幸せだったが、荒川さんも幸せだった」と思いをはせた。

 関係者によると、荒川氏は亡くなった4日も女子ゴルフの上田桃子選手を指導し、その後は巨人のOB会に出席する予定だったという。王氏は「情熱というものをストレートに出せる人。86年の人生を最後まで荒川博として過ごした。もっと長生きしてほしかったが、いい人生だったと思う」と話した。