阪神が6日、FAでの獲得が決まった糸井嘉男外野手(35)に対する人的補償のプロテクト28選手のリストをオリックスに提出した。オリックスが注目していた鳥谷や福留、西岡らのベテラン主力組のほか、球団が将来中心になると判断した若手が入ったことが判明。オリックスは今月中に結論を出すとし、阪神から移籍する運命の1人が決まる。

 阪神が運命のリストを提出した。FA補強でオリックスから糸井を獲得。球団側は人的補償に備え、プロテクト選手28人の選定作業を進めてきた。四藤球団社長は「チーム編成を総合的に勘案して、作成した。個別の名前に関しては、伏せさせて頂きます」と話すにとどめた。期限の8日まで時間をかける見通しだったが、このほど選手名簿が完成。最終期限を待たずに提出に踏み切った。

 リスト作成に関しては、金本監督の意向も反映させ、慎重に協議を重ねた。オリックスは当初、ベテラン選手の獲得も辞さない姿勢を見せていた。これに対し、阪神は福留や鳥谷、西岡らベテラン主力組はしっかりプロテクトしたことが判明した。

 だが、将来を担う有望株の流出となれば一大事。「超変革」実現へ、生え抜き育成を実現させるために、秋季キャンプでは激しいトレーニングで若手を鍛えてきた。プロテクトの28人はベテランから若手まで、チームの骨格を作る選手を極力、網羅する形になった模様だ。

 とはいえ、プロテクト枠の28人は多いようで少ない。今回も悩ましい決断だったとみられる。過去には人的補償で広島に赤松、ロッテに高浜を獲得されたこともある。球団首脳は「FAで大物選手を取るのは、そういうこと。仕方がない部分はある」と話す。チームの変革に、ある程度の出血は覚悟の上と判断した。

 一方で、リストを受け取ったオリックス長村球団本部長は熟考モードに入った。「人をしっかり見て決めたい。投手か野手か分からないが、戦力になってもらえる選手。基本的には(金銭より)人的補償と考えている」。現在、台湾ウインターリーグ視察中の福良監督が帰国後、田口2軍監督らを交えた検討会議を開催。結論は年内に出す予定だ。阪神からオリックスに移る1人が、いよいよ決まる。