オリックス金子千尋投手(33)が来年こそ「金子イヤー」にする。12日、ほっともっと神戸で契約更改し、4年契約の3年目を現状維持の年俸5億円でサイン。現時点で球界最高額となった。この日、今年の世相を表す漢字1文字が「金」に決まったことに、名前と引っ掛けて逆襲を誓った右腕。今季は初めて負け越し、来季は開幕ダッシュから優勝に導く強い決意を示した。(金額は推定)

 もう今季のような悔しさはまっぴらだ。金子が今年の漢字1文字に触れ、もう1度「金メダル級」の活躍をすると誓った。「もちろん、そのつもりで。来年の漢字は『子』になるようにしたい」。2文字合わせて自らの名前。もちろんジョークではあるが、来季に巻き返す気持ちは強い。

 「もうこういう年がないようにしたい。2桁が当たり前で、それ以上を求められている。できなかったのは悔しいし、申し訳ない」

 広島黒田の引退によって現時点で球界一の高給取りとなり、10勝が最低ノルマと自覚。その上で来季は個人、チームともにロケットスタートを誓った。今季は開幕から5戦未勝利。先発定着した08年以降で初の屈辱だった。結局、シーズン初めて負け越した。

 「序盤につまずいたら巻き返しは難しいと感じた。来年はいいスタートを切らないと。(優勝争いの)14年は西が開幕から連勝した。そういう投手が1人でも多いとチーム状態も良くなる。今まで開幕は80%くらいでと思っていた。来年は開幕すぐに100%に持っていきたい」。調整を前倒しせずとも、意識づけで「体も自然と早くできあがる」という。年明けの米国自主トレを起点にする。

 さらに過去5度務めた開幕投手にも意欲的。「しっかり競って、最後に僕が投げていれば一番いい」。今季の開幕前に「特別な思いはない」と素っ気なく語ったのとは大違いだ。目標は個人で大きく勝ち越し、優勝に導くこと。「タイトルで言えば最高勝率を取れるくらいに」。14年の沢村賞右腕が、目の色を変えて逆襲に転じる。【大池和幸】

 ▼オリックス金子が5億円で更改し、現時点での来季年俸日本人1位に立った。このまま最高俸を守れば、オリックスの選手では00年イチロー5億3000万円以来17年ぶりとなる。