藤浪よ、虎投の柱に-。阪神金本知憲監督(48)がプロ5年目を迎える右腕に、自身初の200投球回到達を期待した。22日に兵庫・三田市で講演会を行い、逆襲のキーマンに挙がる藤浪に言及。魅力である荒々しさを維持したまま、制球力の向上を求めた。リリーフ陣に休養を与えられる存在になることを託し、一流投手の証しと言える200イニング&20勝の働きを願った。

 金本監督が逆襲を誓う右腕に、大台クリアを期待した。藤浪が目標に掲げる自身初200投球回の到達。それは指揮官も望む数字だった。「完投にこだわってないが、長いイニングを投げてくれたら、ベンチもブルペンも助かる。藤浪が投げる時は、中継ぎはお休みと計算できる投手になってほしい」。メッセンジャーに並ぶ投手陣の柱としての存在感。今季キーマンの1人に求めるものは大きかった。

 それは自己改革に取り組む藤浪の熱意があるからだ。昨年12月にはダルビッシュと合同練習で肉体強化を図った。鳴尾浜球場では、さっそくブルペンに入り、力みを排除した新フォームに挑戦中だ。19日にその風景を視察した金本監督も、藤浪の姿勢にうなずいた。「去年は変な荒々しさがあった。ストライクが入らず、取りにいって、甘くなることがあった。そこをどう考えるか」。制球力向上は目指すところ。しかし、それでは魅力である「荒々しさ」が消えるのでは? 指揮官は首を横に振った。

 「コントロールがまとまってきたら、意図して、荒々しさを出す。きっちりとバッターボックスのラインに投げられたら、効果は一緒だと思うよ」

 正確に内角を突くことができれば、相手に対する脅威は変わらない。「そういう意味ではコントロール。無駄な投球をなくすということ。ボール先行だと球数が増えて、イニングが投げられなくなる」。荒々しさと制球が同居することで、上のステージに立てる。

 この日の講演会は三田市を拠点とする独立リーグの「兵庫ブルーサンダーズ」の依頼で実現した。かつてのエース井川が在籍。03年には200回&20勝でリーグ制覇に貢献した。「20勝は不可能ではない?」と振られると、指揮官は言った。「ないと思う。その前に14勝しているわけだから」。真のエースに成長してほしいからこそ、金本監督はハイレベルな目標達成を願った。【田口真一郎】

<阪神金本監督の藤浪への要求アラカルト>

 ◆19勝 15年12月9日、藤浪がラジオに生出演。金本監督の「(16年のノルマは)19。背番号じゃないぞ。分かるよな。19勝しなさい。お前ならできる。大黒柱になってください」との伝言メッセージが披露された。藤浪も「それぐらい勝てるように努力して頑張りたい」。

 ◆無敗 16年1月9日、大阪市内で金本監督と藤浪はトークショーに参加。掛け合いの冒頭、金本監督が「さっき21勝すると宣言していたので。21勝0敗とね。僕は20でいいと言ったんですけどね」。いきなりの“ジャブ”に、藤浪は表情を引き締め「勝率にこだわりはある。負けないことが大事。負けない努力はできる」。

 ◆打率2割5分、3本塁打 16年1月9日のトークショーでは「2割5分、3本塁打」指令も出した。藤浪は「甲子園でホームランを打ってバットを放り投げたい」などと呼応した。もちろん、指揮官は「冗談だけどね」とも語っていた。

 ◆後半戦全勝 16年7月17日、金本監督は前半戦4勝止まりだった藤浪について「全勝するぐらいの気持ちでいってもらわないと」と語った。