レギュラー返り咲きから偉業達成へ。阪神鳥谷敬内野手(35)が24日、甲子園室内練習場で自主トレを公開した。北條らとの激しい遊撃争いに向け「ここでダメならやめるしかない」と背水の覚悟。もう1度居場所を取り戻し、残り128本まで迫った通算2000安打を今季中にクリアする。

 追い風から向かい風へ。風向きの変化はもちろん、痛いほど全身で感じ取っている。不動だった遊撃レギュラーの座は「守るもの」から「奪い返すもの」に。逆境に立つ鳥谷が、背水の覚悟を胸に宿した。

 鳥谷 いつか、そういう時が来るのは分かっていた。誰もが当たる壁だと思う。ここでしっかり踏ん張れるかどうかがポイントになる。ここでダメならやめるしかない。できることなら何年もやりたいので。

 首脳陣が二塁や三塁での起用もイメージする中、昨年11月下旬には金本監督に遊撃一本での勝負を志願している。昨季終盤にブレークした北條らとのガチンコ対決がまもなく始まる。「レギュラーで出られるポジションを見つけて、しっかりつかめるようにしたい」。一切崩れない表情から決意のほどが見て取れた。

 鳥谷 年齢は全然気にしていないけど、野球人生の勝負の1年になる。相手が誰というより、しっかり自分のプレーができるようにしていきたい。年齢とともに失われているものを、もう1回見直しながら。

 今オフ、調整法に手を加えた。「去年は体の状態が良くない中で、思うように動かない場所があった。動きにくくなったところを動きやすくするトレーニングを重点的にやった」。36歳になるプロ14年目。詳細は明かさなかったが、肉体は今「去年と全然違う感じ」だという。1月はハワイで大和らと、沖縄ではロッテ井口らとの合同トレで土台作り。この日はティー打撃やキャッチボールで順調な仕上がり具合を披露した。

 現時点で連続試合出場は1752。球界歴代2位となる金本監督の1766試合が視界に入ってきた。さらに通算2000安打まで残り128本。今季中の偉業達成も注目される。

 鳥谷 まずは試合に出ないと話にならない。それだけを考えてやる。その先にそういうものがある。1年、試合に出続けた中で数字は付いてくる。

 力ずくで居場所を取り戻しにかかる。その先に、鳥谷敬の新境地が待っている。【佐井陽介】

<一問一答>

 -キャンプインに向けて

 鳥谷 しっかりキャンプで戦える体は作ってきた。技術的に(2月)1日からアピールしていかないといけない。

 -同学年の糸井が加入

 鳥谷 まだ会っていません。チームとしても、機動力を使えて長打も打てる選手なので、プラスになる。

 -17年の目標は

 鳥谷 個人的には1年間しっかり試合に出られるように。チームとしてはなかなか優勝をつかめていない。そこだけを向いてやっていきたい。

 -遊撃へのこだわりは

 鳥谷 それは自分の口からは言わない。