広島大瀬良大地投手(25)にとって、待ちに待った…724日ぶりの先発勝利だった。3回をのぞき、7回まで毎回走者を背負った。4度はイニングの先頭打者に出塁を許した。それでも巨人打線を7回4安打無失点に抑え、15年5月4日の同戦以来という先発での勝利を挙げた。

 「100%は喜べないけど、ゼロで抑えられたし、チームが勝ったので、先発としての役割は果たせたかな。今日は素直に喜んでいいのかなと思う」

 長かった-。真面目すぎる性格ゆえ、不安や悩みを抱えきれなくなるときもあった。眠れない日もある。心が折れかけたときに助けてくれたのが、中学時代からの2人の親友だった。広島市から約400キロ離れた地元長崎・大村市から日帰りで車で会いに来てくれた。たわいもない会話に癒やされ、そして励まされた。一緒に公園で食べた牛丼の味は忘れられないという。

 今季も好投が白星に結びつかなかった。口では「勝ち星を気にしていない」と言うが、登板前に1人で広島市内の神社に出向いて必勝祈願した。今でも車を走らせ会いに来てくれる親友の1人に第3子が生まれたばかり。先発勝利は恩返しとともに、最高のプレゼントになった。

 何よりチームに貢献したかった。先発として起用される期待にも応えたかった。緒方監督は「大地が勝ったのは、本人はもちろん、チームにとってもこの白星は大きい」と喜んだ。先発の柱と期待する右腕の待望の白星で、広島はまた勢いづく。【前原淳】