ド、ド、ドリスに大爆勝! 前日までリーグ最少65得点だった中日が、阪神の守護神ドリスを沈めた。同点の9回1死満塁。藤井が中前に決勝のテキサス安打を落とした。

 大島の中前打から作った千載一遇のチャンス。打席には初回に適時打の藤井だが、森監督はカウントを見てスクイズを考えていた。しかし「最初の空振りを見てやめたよ」。

 140キロの高速フォークについていけず、2球続けて同じような空振り。「藤井の2つの空振りを見て、誰が期待していたか。俺は12回までの計算をしていたよ。向こうは12回まで(投手が)もたないだろうとね」。だめだこりゃ…と覚悟した指揮官も驚いた。

 藤井は5連続で来た低めのフォークをすくい上げ、フラフラと中堅手前へ。一塁走者も判断がつかず、もう少しで「中ゴロ」という当たりが決勝打になった。堂上に中前適時打、松井雅にも犠飛が出て計3点。リーグトップの10セーブ、防御率0・73だった無敵右腕をKOした。

 3安打の藤井は「打とうと思ってもなかなか打てないので、必死で食らいついた」と息をはずませた。

 右脚負傷のゲレーロが先発から外れた。長打は期待できず「次いってみよう」のつなぎが頼みの試合だった。初回の平田と藤井、2回の大島と合わせて計5本の適時打は今季最多。途中、拙攻もあったが、意外なクライマックスで虎党を静まり返らせた。【柏原誠】