首位はがっちりキープだ。楽天が2位オリックスに2-1で勝利し、カード勝ち越しを決めた。古川侑利投手(21)と下妻貴寛捕手(23)の若手バッテリーを先発起用。同点の5回2死満塁の場面では、ドラフト4位ルーキー菅原秀投手(23)を継投させピンチを切り抜けるなど、采配が見事にはまった。この勝利で梨田昌孝監督(63)は監督通算725勝目。日本ハムなどで指揮を執った、大沢啓二監督の記録に並んだ。

 梨田監督は、ベンチで少し悩んでからルーキーをマウンドへ送り出した。1-1の5回。先発の古川が2死満塁のピンチを招いたところで、与田投手コーチから「(菅原を)いかせましょう」と進言された。「先発の失点が2、3点なら責任はないと思っていたから古川を続投させようか迷ったけど、与田コーチに背中を押された」。窮地でマウンドを託された菅原は、5番中島を3球目の速球で二ゴロに仕留める。3日まで7試合に投げ無失点のルーキーの投球が、勝利をたぐり寄せた。

 攻撃でも積極的なベンチワークを見せた。ピンチを脱した5回裏、1死二、三塁の好機で、下妻に代わり伊志嶺を打席に送った。梨田監督は「バッティングがいい。左のほうがいいと思って準備をさせていた」と狙いを話す。「カーブが続いていたが、速球も頭にあった。うまく反応できた」と、伊志嶺の鋭いライナーは一塁の小谷野に好捕される。二塁走者の岡島がベースから大きく離れていたためあわや併殺かと思われたが、小谷野の二塁への悪送球で、三塁走者の島内が本塁に生還。同監督は「ラッキーだった」と胸をなで下ろしたが、試合の潮目を変えたのは攻めの起用だった。

 抜てきした若手バッテリーも踏ん張った。今季2度目の先発となる21歳の古川は、毎回のように走者を許しながら5回途中1失点で踏ん張り、プロ初マスクの下妻も好リードで首脳陣の起用に応えた。「古川は球数が多くなったが、だんだんピッチングがよくなったし、下妻もよく頑張ってくれた」と、梨田監督は目尻を下げた。

 この白星で現役では最多の監督通算725勝目。歴代18位で大沢監督と並んだ。2日連続で、Koboパーク宮城の最多観客動員数を更新する2万7294人を沸かせた。2位オリックスとのゲーム差は3となり、13年7月25日以来の貯金12をマーク。監督の指揮がさえ、選手層の厚さを見せた楽天の強さは、底無しだ。【田口元義】