試合前に誕生日の祝福メッセージを送ってくれた家族は、原動力だ。弟巧さんは今春、母校の作新学院に入学した。3月25、26日の札幌ドームでのオープン戦に両親と姉とともに訪問を受けた。近藤に教わり、大谷らと行ったことのある札幌市内のすし店に連れて行き「一応自分が払いました」と喜んでごちそうした。「北海道のすしは全然違う。おいしいね」と言いながらほおばる笑顔がうれしかった。

 石井一の「応援ツアー」は、甲子園への挑戦が始まる巧さんが参加できる最後の家族旅行だった。「同じショート。自分も頑張るけど、弟も頑張って欲しい」。巧さんにとって石井一は憧れの存在。兄として背中でプロの姿を見せ続けるのが、モチベーションの1つだ。

 プロ初の三塁打を含む2安打1打点。記念すべき日を自ら彩り「最高の誕生日になりました」。中島の早期復帰は難しい見込みでチームにとってはピンチ。期待がさらに高まる石井一は「ルーキーらしくハツラツとしたプレーをしていきたい」と意欲的に話した。【保坂果那】