故郷で、ロッテの若武者が躍動した。平沢大河内野手(19)が、Koboパーク宮城で行われた楽天戦で2安打2得点。今季初めてマルチ安打を記録し、いずれも生還した。平日デーゲームで行われた試合には、母校・仙台育英の生徒3000人が招待されていた。後輩たちの前で2年目の成長した姿を見せ、チームの今季火曜日初勝利に貢献。借金12で最下位は変わらないが、週の頭に勢いをつけた。

 右に、左に、平沢のバットが自在に打球を運んだ。まずは3回1死走者なし。楽天辛島のスライダーを引っ張り、右翼線二塁打を放った。チーム初安打で出塁すると、細谷の三塁打で先制ホームを踏んだ。2本目は4回2死一塁。前打者の田村の安打を見て「何とかつなぐ気持ちで」。外角135キロを逆らわずに左前へ。好機を広げ、続く荻野の二塁打で生還した。

 仙台に隣接する多賀城市出身。仙台育英の中心打者として甲子園を沸かせた人気は、いまだ根強い。打席に入るたび「大河!」と、楽天ファンからも声援が飛んだ。さらに、三塁側内野席には母校、仙台育英の生徒3000人が招待されていた。移動日だった前日は野球部を訪問。佐々木順一朗監督から「思い切ってやれ」とハッパをかけられた。「プレッシャーを感じます。変なところを見せられない」と話していたが、変どころか、成長した姿を見せた。

 これで出場8試合連続安打。2年目で着実に前へ進んでいる。「1年目と、そんなに変わってません」と、いつもは控えめな平沢が「大きかった」と話す1打がある。7日のソフトバンク戦。6回に寺原の144キロを右中間三塁打。芯で捉え、ライナーで外野を割った。昨季は速い球にさされることが多かった。「球が見えるようになった」から、自分のスイングができている。

 伊東監督は「守備もだいぶ安定してきた。しばらく使おうと思う」と、遊撃で固定の方針。4月は、中村、大嶺翔らと併用だったが、2人は2軍に行った。それを見た平沢は「チャンスは増えると思う。でも、しっかりやらないと、自分も落とされるということ」と気を引き締めていた。だから、故郷でレギュラー確保に前進しても「毎試合やることは同じです」。浮つかなかった。【古川真弥】