中日に開幕から6連勝という歴史的ゲームのポイントとなったのは5回に中野拓夢が決めた犠打と思う。2点を追う展開だった5回、無死一、二塁。ここで打席に入った中野は高橋宏斗の1球目に犠打を決めた。
これで1死二、三塁に。その後、森下翔太の死球で満塁になると佐藤輝明の犠飛、大山悠輔の適時打で2点ビハインドを追いついた。現在の阪神、中日の勢いを知る野球ファンならこの時点で勝敗の行方を感じとったのではないか。
「クリーンアップが当たっているし、チャンスを広げてそこに回すのは自分の大事な役割。(犠打を)1球で決められてよかったと思う」。中野は今季3つ目となった犠打をそう振り返り、話したのである。
中野は前日まで10試合連続で安打を放っていた。自身のキャリアハイは23年の「15試合連続」。誰でもそれを更新したいと思うだろう。しかも、そこまでの2打席はいずれも一ゴロに倒れていた。あの場面で「打ちたい」という気持ちはなかったのか。その問いに中野はある“考え”を明かす。
「もちろん打ちたいという気持ちはありますけれど。あそこでバントが決まれば、次の打席に気分よくいけると思いますし…」
犠打は犠牲だけではなく、自分を生かすものでもあるという発想だ。実際に6回の第4打席で中野は中前打を放ち、連続試合安打を「11」に伸ばした。森下や佐藤に比べ、派手さはないけれど逆転勝利に大きく貢献したのは間違いない。
いや、派手なところもあった。9回表、1死一塁で高橋周平の一、二塁間を抜けていきそうな打球をキャッチし、刺す好プレー。今季最多4万2625人をのみ込んだ甲子園を最後まで沸かせた。
「自分でも無理かなと思った。捕ってもギリギリやったんで。あのへんに投げれば…という感覚で投げました」。自画自賛となるフィールディングである。
プレーボールからいろいろなことがあった。アクシデントで先発・伊原陵人が早期降板。それを佐藤のソロなど計6打点のクリーンアップを中心にはね返し、逆転した。ブルペン陣もよくつないだ。
「(チームが)うまくいけるのも捕手がきっちりリードしたり、中野が二塁でああいうプレーをしたり。連係ですから」。指揮官・藤川球児も満足そうに話す日曜となったのである。(敬称略)




