平成の怪物に投げ勝った。阪神小野が中日打線を6回2安打1失点(自責0)に封じ、松坂との投げ合いを制した。

 「意識することなく、相手打線に集中して投げることができた。しっかり真っすぐで押せていたピッチングだった」

 序盤は直球中心の投球だった。だが、2回に先制点をもらうと、思うようにコントロールできず、ボールが荒れた。「味方が点を取ってくれた後に先頭を四球で出して追いつかれてしまった」。6回で降板し、球数は101球。勝ち星をつかんでも反省の言葉を繰り返した。

 オフには今季から規制緩和された2段モーションを取り入れた。投球時に一番意識しているのはリリースの瞬間であり「体の軸ができて、前のめりにならない。だから指先のポイントが決まってくる」と手応えを語る。安定させたリリースポイントがあるから、伸びのある直球を投げ込める。6回の98球目にも、最速の150キロを計測。球威が落ちないのはフォーム改造に取り組んだからだった。

 新人だった昨季は15試合に先発して2勝止まりも、今季は4月3試合の登板で2勝。「1年間ローテでまわれるように、1試合1試合いい投球ができるようにしたい」。若き右腕が、虎を波に乗せる。