日本ハムのドラフト1位、清宮幸太郎内野手(18)が20日、イースタン・リーグのロッテ戦(鎌ケ谷)で、プロ初本塁打を含む2本塁打を放った。限局性腹膜炎から実戦復帰して8試合目は、3番一塁でスタメン出場。3回1死一、二塁、2軍公式戦23打席目で飛び出した1号は、推定飛距離110メートルの右越え弾。7回は1死一、三塁から、右翼席後方の防球ネットを直撃する125メートル弾だった。2本の3ラン含む3安打はすべて右方向と、アーチスト清宮の完全復調を印象づけた。1軍昇格も、そう遠くはなさそうだ。

 手のひらに残ったのは、完璧な感触だった。高校通算111本塁打を放っているビッグルーキーから、待望の“プロ初本塁打”が飛び出した。それも、1試合に2本もだ。1回2死に出た8打席ぶりの安打に、2発の予兆があった。ライナーで右前に抜ける打球が、清宮のスイッチオンだった。

 3回1死一、二塁。真ん中に入ったロッテ西野のフォークを右翼席最深部へ。7回1死一、三塁、同じく西野のスライダーを右翼芝生席後方の防球ネットに突き刺した。この日2本目の3ランを放ち、3安打6打点と大暴れだ。「1本出たのでホッとしました。2軍戦ですけど、初めて打てたので、うれしかった。考えながらできましたし、高校時代とは違った喜びがありました」。非凡な才能を証明した若きスラッガーは、照れくさそうに笑った。

 3月12日に限局性腹膜炎で約2週間、入院し、食事制限から体重は8キロ減った。復帰後、この日の試合前まで、2軍戦での打率は1割5厘。打球が右方向へ飛ばない。筋力低下の影響か、直球に振り遅れ、差し込まれる場面が目立った。

 前日19日のイースタン・リーグ楽天戦(ウェルファムフーズ森林どりスタジアム泉)の最後の打席から、打撃フォームを変更した。左脇を開き、バットを立てる。OBのエンゼルス大谷や中田らが取り入れる「フライングエルボー」に近い仕様で、バットを構える前に投手側へバットを寝かせる無駄な動作も省いた。「振り遅れないよう、意識的に変えました。それで打てたかは、まだ分かりませんけど、自分のものになれば」。この日の打球は、すべて右方向へ引っ張ったもの。持ち前の打撃スタイルが戻ってきた。

 8-11で回ってきた9回の第5打席は1死満塁。1036人の観客、そして両チームのベンチの興奮は2軍戦とは思えないほどだった。結果は投ゴロ併殺だったが、誰もが逆転サヨナラ満塁弾をイメージしたはず。見ている人に、そんな期待を抱かせる18歳は「1軍でちゃんと打てれば良いのですけど、新たな1歩ということで、今日からまた頑張りたい」。1軍デビューの日が、待ち遠しい。【中島宙恵】