金本阪神が前半戦を終えました。借金3ながら2年連続Aクラスの3位でターン。振り返れば、大記録がストップし、新星が誕生し、節目の記録も生まれるなど、悲喜こもごもな激闘の連続でした。そこで、日刊スポーツは前半戦の「阪神10大ニュース」を選定しました。
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<1>鳥谷が5月29日ソフトバンク戦を欠場し、1939試合連続出場でストップ
大記録に、ついに終止符が打たれた。5月29日ソフトバンク戦(甲子園)。鳥谷は出番がないまま0-1の敗戦を見届けると、一塁ベンチで静かに用具をしまった。プロ野球歴代2位の連続試合出場数が1939でストップ。試合後は騒然とする周囲をよそに「いつかは止まるものなので。いい時も悪い時も、ケガをしても使い続けてくれた監督たちに感謝したいです」と穏やかな表情を浮かべた。
記録が途切れた時点で打率1割4分3厘。過去に経験したことがない不振に苦しみ、開幕直後から徐々に出場機会を失っていた。腰椎骨折、右手人さし指爪の裂傷、肋骨(ろっこつ)骨折、そして鼻骨骨折…。苦境に立たされてもグラウンドに立ち続けた鉄人だが、元広島・衣笠祥雄氏が誇るプロ野球記録、2215試合連続出場には届かなかった。
とはいえ、野手の中でもっとも激しい動きと守備力が求められる遊撃を主戦場としながらポジションを守り抜いてきた記録の偉大さに疑いの余地はない。翌30日ソフトバンク戦(甲子園)では9回に代打で右前打を放ち再スタート。割れんばかりの拍手が背番号1に降り注がれた。
<2>藤浪が6月15日楽天戦で7回途中まで無失点と好投して407日ぶりの白星
藤浪は407日ぶりの白星を手にした直後、照れくさそうに笑った。6月15日の敵地楽天戦。気温12度で冷たい雨風にさらされながらも7回途中を被安打4の3四球、9奪三振で無失点。「勝ちをつけてもらったことは素直にうれしいです。ただ、もうちょっと粘れたらなという気持ちと…。うれしい気持ちと悔しい気持ちと、複雑です」。昨年5月4日ヤクルト戦以来の白星となる今季初勝利をゲットし、「次はチームを助けられるように」と力を込めた。
<3>豪雨災害の影響で7月9日からの広島3連戦が中止。前半戦15戦中止は異例
異例の15試合中止が後半戦にのしかかる。天候に恵まれない日々に加え、西日本豪雨災害の影響を受けて今月9日から予定されていた広島3連戦が中止に。74試合の消化はリーグ最少。雨天中止直後の試合では9勝1敗と好データも残るが、勝負の9月、10月は超過密日程となる可能性もある。福留も「体にとってはいいけど、後のことを考えたらどうだろう。大変だな」と話していた。
<4>新外国人ロサリオ不発。5月27日巨人戦は4番に5年ぶり代打。2軍降格も
新外国人のロサリオが不振に陥った。開幕から4番に座っていたが、5月12日広島戦で5番に降格。5月27日巨人戦では7番にまで打順が落ちた。打撃不振で6月3日に2軍降格。前半戦で1軍の舞台に戻ってくることはなかった。48試合に出場して打率2割3分、4本塁打、22打点の成績。「感触はいい。今は100%の状態に戻っている」と話しており、後半戦の巻き返しが期待される。
<5>糸井が主力の本領だ。6月2日西武戦で人生初満塁弾、プロ初6打点
超人糸井が主力の本領発揮で“1人無双”した。6月2日の西武戦で人生初となる満塁弾を放った。この日は初回に先制適時打、7回にダメ押し犠飛も放ちプロ15年目で最多の6打点を記録。5月下旬から虎の4番を任され、前半戦終了時点で打率3割1厘、10本塁打、40打点、15盗塁の4部門でチームトップ。攻撃の要として後半戦の爆発にも期待だ。
<6>ベテラン能見がリリーフ転向。6月28日DeNA戦の好救援で通算100勝
中継ぎで輝きを放った。能見は開幕は先発で迎えるも、5月下旬に中継ぎ転向。6月28日DeNA戦(横浜)でプロ野球135人目となる通算100勝をマークした。複数イニングも投げられブルペンを支える存在に。周囲のサポートに感謝する左腕は「仕事をするだけ」と後半戦も役割を全うする。
<7>秋山が5月8日巨人戦で完封勝利&本塁打の二刀流。虎では36年ぶりの伝説
秋山が阪神では36年ぶりの伝説を生み出した。5月8日巨人戦(東京ドーム)で完封勝利&本塁打の二刀流。9回127球を投げて5安打無失点。9三振を奪う力投で3勝目をゲットした。完封劇に「まんべんなくよかった。本塁打はおまけです」と満面の笑みだった。
<8>金本監督の秘蔵っ子、ドラ2高橋遥が4月11日広島戦で快投。新人プロ初星
金本監督の秘蔵っ子、ドラフト2位の高橋遥が虎新人としては59年村山実以来、59年ぶりの初登板初先発で初勝利の快挙を成し遂げた。4月11日の広島戦に先発。7回2安打無失点、84球を投じ、無四球と衝撃的なデビュー戦となった。1月末にブルペン投球を見た指揮官が「アレ、打てないと思うよ」と大絶賛した逸材。後半戦も頼れる新戦力の快投に期待がかかる。
<9>4月に巨人3連戦3連敗。22日大敗に金本監督「悔しさない選手使えない」
阪神の序盤戦最大の屈辱だった。4月20日は菅野に完投勝利を許し、同21日は競り負け。極めつけが22日だ。1-10の大敗後、金本監督はベンチ裏のインタビュールームで「選手が悔しい思いを持っているかどうか。ここが一番、問題ですわ。持っていない選手は使えないと思うし、淡々と終わっているようじゃ使えませんよ。いらない、そういう選手は」と言った。5月下旬には、仕返しの3連戦3連勝の意地を見せた。
<10>リーグ最下位のチーム打率&総得点の貧打打開で新外国人のナバーロを獲得
阪神は開幕から慢性的な貧打を解消できなかった。最大のネックは新外国人ロサリオの不振だ。そこで球団は苦境を打開するため、6月15日にエフレン・ナバーロ内野手(32=カブス傘下3Aアイオワ)の獲得を発表した。一塁だけでなく外野も守れるアベレージ型の左打者で、ロサリオとの併用も可能だ。メジャーでは通算157試合に出場。13、17年のWBCメキシコ代表。前半戦終盤に1軍昇格し、存在感を示した。