タナキクマルで復調!広島緒方孝市監督(49)は1番に田中広輔内野手(29)を起用し、約1カ月ぶりに「タナキクマル」を上位に並べた。前日に続く雨中の一戦はセンターラインを形成する3人が守りを固め、反撃態勢を作った。3選手に引っ張られるように、今季37度目の逆転勝利。マジックを3に減らした。

ぬれた芝が味方した。7回。1点差から同点とした直後の松山の遊撃へのゴロが芝の上を滑るように走り、代わったばかりの阪神植田のグラブをはじいた。打球が左翼前に転がる間に、二塁走者丸が三塁を蹴って本塁へ。決勝点となった。

前夜と同じように断続的に雨が降る耐久戦で、指揮官が常々口にする「守り勝つ野球」で白星をもぎ取った。前日は阪神を上回る2失策。この日は阪神の1失策が決勝点となる適時失策。一方、広島は無失策。守備陣が試合を引き締めた。

堅守の中心にはタナキクマルがいる。指揮官も「絶対的なレギュラーで欠かせない存在」と信頼を寄せる。そして田中を8月17日DeNA戦以来となる1番で起用した。3回までに2打席連続安打で、4月25、26日DeNA戦以来の2戦連続複数安打。5回はチーム初得点となる犠飛で反撃ののろしを上げた。

前夜の11連戦初戦は日付をまたいだ。緒方監督は夜中の1時13分に球場を後にしたが、チーム一番乗りの午前9時30分に球場入り。戦いのプランを練り、タナキクマルを起爆剤とした。采配が決まり「しっかり結果を残してくれるんだから、自分の居場所じゃないか」と田中の1番復権アピールを喜んだ。役者が戻り、球団初の3連覇も目前。明日23日にも緒方監督が舞う。【前原淳】